わたなべ りやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 2602号
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 2012(平成24)年5月7日(月)


 「うちの連中はバカばっかり」と小沢氏:古澤 襄
  農民に苛烈だったわが先祖:平井修一

  大山捨松(下)~ 貴婦人の報国:伊勢雅臣

  アメリカの製造業の会社では:前田正晶

  圭子の「夢は夜開く」:渡部亮次郎

                    話 の 福 袋
                    反     響
                    身 辺 雑 記


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第2602号
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「うちの連中はバカばっかり」と小沢氏
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    古沢 襄

ゴールデンウイーク最後の日、6日である。一年365日がゴールデンウイークになった私だが、人並みに連休の最後の日を楽しむつもりでいる。

東京で生まれ、東京で育った私だが、どういうわけか都会の喧噪よりも、時間がゆっくり流れる農村の生活の方が好きである。地方勤務が終わって本社に戻ると、朝の出勤でセカセカと前のめりになって歩く人の流れについていけない。1ヶ月もすると慣れるのだが、自分がベルトの上に乗っている違和感が残る。


何故だろう。戦前の東京には時間がゆっくり流れる余裕空間があった。夕方になると父と母に連れられて神楽坂の散歩に行く日が多かったが、夜店のブラブラ歩きが懐かしい。

月に何回か、浅草に出て隅田川のポンポン蒸気に乗り、降りたところで行きつけの店で大阪寿司を食べた。店の前に九官鳥がいて「オハヨウ」と啼く。

“お江戸”の風情を残した東京の姿が消えた戦後の東京は、無機質な高層ビルが林立している。

嘆いても仕方ない。東京を脱出して、利根川を渡ったところについの棲家を求めて20年がたつ。距離を置いて大東京を眺める習慣が身についた。

話はガラリと変わるが、森喜朗さんが無所属でトップ当選したのは昭和44年。旧赤坂プリンス・ホテルの清和会事務所で福田赳夫さんから紹介された時には、相撲取りのような田舎人だなと好意を持った。付き合いも長くなったが、素顔の森さんは誠実でサービス精神に富む。

姉さん女房の千恵子夫人の尻に敷かれたところがあるが、夫婦円満が続いている。千恵子夫人は杜父魚ブログをよく読んでいる。

最近は森さんとの交友が途絶えていたが、「ご無沙汰しているが、女房に言われて・・・」と懐かしい声を聞いた。電話の向こうで大きな身体を恐縮してみせる姿が目に浮かんだ。

千恵子夫人は「古沢さんの手紙は別の文箱に入れているのすよ」と言ったことがある。あまり知られていないが、森さんは一種の整理魔。亡くなった早坂茂三さんが「過去のことをメモなしで喋る人だが、あとで調べると正確なので記憶力が抜群」と褒めていた。

サービス精神が旺盛なので、時々脱線して物議をかもす。“一言多い”のが災いしてメデイアに叩かれることが多かったが、柔な都会人ではないからめげない。幹事長、総務会長、政調会長をこなした党人だから、政局の読みについては抜群の才覚を持っている。

その森さんが産経新聞で、政局について語っている。いわゆる「政局観」という奴だが、保守政界の女帝の政局観とほとんどが一致している。二人の間には接点がないだけに面白い。一読するだけの価値がある。

<民主党の小沢一郎元代表に無罪判決が出たね。ある弁護士が「プロの法律家だったら無罪でしょうが、裁判員制度だったら有罪です」と言ってたけど、その通りになったな。小沢さんとカネの話は古くて新しい話でもあり、新しくて古い話でもある。つまりそれだけ長いってことだ。やっぱり疑惑は全然消えないよね…。

それでも小沢さんはまた動き出すだろうな。彼が面倒をみてるチルドレンは次の選挙が危ない連中ばっかりだから、その心理を見透かして「消費税増税反対の人はこの指とまれ」とやるのは手っ取り早いよな。うまいといえばうまいし、ずるいといえばずるい。

でも税制は絶対に政局のテコにしちゃいけない。ましてや消費税を創設した竹下登内閣で官房副長官を務め、細川護煕連立内閣で国民福祉税を仕掛けた人だよ。それに平成19年秋、福田康夫首相に大連立を持ちかけた際、彼は僕に何と言ったと思う?

「日本を救うためには大連立しかない。消費税増税を言った政党が選挙で負けるような国はよくないんだ。だから一緒にやろう」

こう言ったんだ。「民主党はまとまるのか」と聞いたら「大丈夫だ。選挙に勝って今なら俺のマジックが効いている。うちの連中はバカばっかりだ」とね。だから「そこまで言うならば」と福田さんに話を通したんだよ。それが今になって「消費税増税反対」なんてチャンチャラおかしいだろ。

でも小沢さんがそう動くならば、なおさら自民党はおかしなことをせずに堂々とやった方がいい。税と社会保障は将来の日本の背骨ですよ。今国会できっちりと結論を出すべきでしょ。

            × × ×

大きな課題はまだある。衆院の「一票の格差」是正も待ったなしだ。最高裁が「違憲状態」と判断したんだからね。まあ、三権分立なのに司法が立法府の制度や配置にまで口を挟み、地方の有為な人材が次々に切り捨てられてよいのかとも思うけど…。

ただ、衆院選挙制度に関する各党協議会は一体何をやっているんだろう。党利党略そのものじゃないか。「一票の格差」是正と言いながら民意をねじ曲げる連用制を導入すればますますおかしなことになるに決まってるよ。

そもそも「政治の劣化」を言われるようになったのはなぜか。劣化するような政治家の選び方にしてしまったからじゃないのかな。対立候補より一票でも多く集めるためにポピュリズムに走り、税や外交など特定分野でコツコツと勉強する人には光が当たらない。

大都会は選挙区が小さすぎるから地方議員に相手にされない衆院議員もいるんだよ。いずれも小選挙区制の弊害だと言えるでしょ。

先日、河野洋平元衆院議長が選挙制度改革の会合で小選挙区制導入について「自分にも大変な責任がある。不明を恥じる」とおっしゃったんだ。いや、立派…。過ちを正すことも大事なことなんです。現行の選挙制度を問題点を正す。しかも中小政党に不利にならず、民意を反映したい。

それならば中選挙区制に戻すしかないじゃないか。3人区をベースに都市部は4~5人区にする。公明党の故冬柴鉄三元幹事長がずっと主張された制度でもある。これならば公明党も共産党も堂々と議員を国政に送り込める。

選挙制度は小手先の議論をしたらダメなんです。各党がお互いに我を張ってこのまま何も決まらなければ「政治家は何をさぼってるんだ」と国民に見放されちゃうよ。

              × × ×

新党もなにやら騒がしいね。選挙のにおいがすればするほどもっといろんな動きが出てくるだろうな…。

大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長も教育改革などで「結構いいことを言っているな」と思ってたけど、最近は国政に出ることに重きを置いてるようだよね。では大阪都構想はほっぽり出すのかな。「それは国政に進出するための手段だった」と言うのであれば、大阪府民をコケにしたことになるんじゃないか。

橋下さんは原発再稼働でも厳しいことを言ってるね。そりゃ、あれだけの事故が起きたんだから数十年のスパンで原発に頼らない方向に持っていかざるを得ない。