目次
◎佐藤守 「大東亜戦争の真実を求めて 363」
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◎佐藤守 「大東亜戦争の真実を求めて 363」
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ドーリットルの東京空襲で山本のメンツはつぶれ、彼は予定されていたフィジー・サモア作戦をミッドウェイ作戦に変更させる。
これもドーリットルの“ギャンブラー攻撃”に過剰反応したギャンブラー・山本らしい動きだと私は思うが、その結果おっとり刀で飛び込んだミッドウェー作戦では、ハワイとは打って変わって大敗北に終わった。
ハワイ作戦終了後の連合艦隊司令部は、瀬戸内海の柱島に停泊している戦艦大和にあった。南方攻略作戦が一段落し、インド洋方面作戦が終了したので、連合艦隊水上部隊の主兵力を瀬戸内海西部に集結させ、基地航空部隊の大部分を太平洋東正面に配備して、次期作戦の準備に取り掛かっていた。
そんな最中に起きたのが、ドーリットルの東京空襲であった。
このころわが海軍は、ハワイ作戦の成功によって当面太平洋方面においては、撃ち漏らした米空母を中心とする機動部隊による“奇襲”を受ける程度であろうと読んでいた。しかし日本本土の太平洋に面する海岸線の総延長線は、3000マイルに及ぶ遠大なものだったから、敵機動部隊による奇襲を防止するのは極めて難しいところがあった。
兵力上、連日広範囲な偵察にも限度がある。そこで帝国海軍は、窮余の一策として南鳥島の北から千島南方にかけて、漁船を一列に配置した哨戒線を展張した。そして海軍の哨戒機にはさらに洋上遥か600マイル沖まで行動させた。
この「海上邀撃航空部隊」は、木更津基地を主幹として一部を南鳥島に分派した陸攻約80機を基幹とし、南方作戦から帰還した精鋭第26航空戦隊を加えたものであった。
4月10日午後6時30分ごろ、我が方は、空母2~3隻からなる米機動部隊が真珠湾北西約400マイルに進出し、14日頃には東京空襲を企図するかのごとき兆候を窺わせる無線情報を探知していた。
そこで哨戒部隊には700マイル圏内の綿密な捜索が命じられ、反撃計画も急速に樹てられていた。ところが敵機の発艦位置はおそらく海岸から300マイル付近だろうと見積もられたのである。
この見積もりに基づく作戦は、第一撃を魚雷攻撃、第2次攻撃は雷爆撃を集中して東京空襲を不可能にさせるというもので、さらにインド洋作戦を終えて帰還中の南雲機動部隊で追撃させとどめを刺そうというものであった。
その後敵の動きは不明のままだったが、4月18日午前6時30分に、海上哨戒線で監視中だった監視艇「第23日東丸(漁船)」から、「敵空母3隻見ゆ。我が地点犬吠岬の東600マイル」という緊急電が入る。
第26航空戦隊は直ちに攻撃準備を開始し、午前11時30分に触接機として陸攻3機を発進させた。その後哨戒線からの報告がなかったのは、第23日東丸が撃沈されたからで、発見されたことを知った米機動部隊は、直ちに日東丸の“口を封じて”B-25爆撃機を発艦させたのである。
他方この日、午前6時30分に哨戒に飛び立った哨戒機からは、午前9時45分に「敵の“双発機2機”を東京の東600マイル付近で発見」と報告があった以外、何ら報告がなく、情報は途絶していた。
そこで機会を逸することを危惧した攻撃部隊は午後零時45分、敵を求めて発進した。ところがこのころ、わが防空部隊は、敵の空襲は19日ころだろうと予測していて、横須賀鎮守府管区のみが午前8時39分に空襲警報を発令した以外は警報発令を手控えていた。
なぜこのような結果になったのかといえば、日本海軍では敵空襲は19日午前より以前に行われることは“絶対に”ありえないと判断していたからであり、その根拠は「空母から発艦するのは航続力の少ない艦載機」であるから300マイル圏外からはあり得ないという仮定に立っていたからである。
ハワイ攻撃作戦立案時にも、フィリピンに対するわが掩護戦闘機の航続力不足という前提で図上演習を行い、その結果ハワイ攻撃に踏み切ったように、今回もまたあろうことか、“敵の艦載機”の航続力不足を仮定した大失態だったのである。
戦争では、自分に都合がよい判断を適用してはならないのであり、「鵯越」や「桶狭間の戦い」など数々の古戦史に学んでいたはずの提督のやり方だとは思えない。
この「不意を突かれた東京空襲」という失態が契機となって、急遽ミッドウェー作戦が立案され、大本営は5月5日に山本連合艦隊司令長官に対し、陸軍と共同してミッドウェー及びアリューシャン西部要地の攻略を命令したのであったが、この作戦の敗因については、私は「いかにおっとり刀的構想であったか」と酷評したが、その根拠は次の「作戦方針」によく表れている。
≪作戦方向はミッドウェー島方面とアリューシャン群島方面とに二分するが、両者を緊密に連繋せしめる一体の作戦とし、要地の攻略作戦自体も重要な作戦目的であるが、この攻略作戦を契機として反撃のため出現を予期せられる敵艦隊を捕捉撃滅することも目的とする。従って敵が両方面の何れに集結出現した場合も、十分之に応じ得るよう有らゆる兵力配備を考慮し、連合艦隊決戦兵力を之に充て得る如くする≫
戦力を二分しておきながら「緊密に連携」するよう強要し、「要地攻略も重要」だが、「敵艦隊を捕捉撃滅すること」も大事だと二兎を追わせようとする。この支離滅裂で希望的“願望”を集約した作戦方針では、大部隊が動けるはずはない。
ミッドウェー作戦は負けるべくして負けた戦なのだが、なぜこんな“迷令”になったのかは、「ギャンブラー」の心理を研究する以外にはないであろう。(元空将)
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◎奥山篤信 映画評 ベルギー映画<少年と自転車LE GAMIN AU VELO/THE KID WITH A BIKE> 2011 ☆☆☆
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ベルギーの映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟が、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した作品。ちなみにダルデンヌ兄弟はカンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を成し遂げた。
無責任な父親に捨てられ、児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)が、キリスト教の愛に満ちた一人の女性によって、徐々に傷ついた心を開いていく姿を描く。この世にかかる慈愛に満ちた女性が存在するのかと思うほど、それは隣人愛に満ちた無償の行為としての愛、まさにルカ福音書10-30~35のサマリア人を連想させる女性である。あの<ジャック・メスリーヌ>のメスリーヌの情婦を演じたセシル・ドゥ・フランスの味のある演技が見ものである。
題材は良いのだがやや退屈を免れない。
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◎佐藤守 「大東亜戦争の真実を求めて 363」
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ドーリットルの東京空襲で山本のメンツはつぶれ、彼は予定されていたフィジー・サモア作戦をミッドウェイ作戦に変更させる。
これもドーリットルの“ギャンブラー攻撃”に過剰反応したギャンブラー・山本らしい動きだと私は思うが、その結果おっとり刀で飛び込んだミッドウェー作戦では、ハワイとは打って変わって大敗北に終わった。
ハワイ作戦終了後の連合艦隊司令部は、瀬戸内海の柱島に停泊している戦艦大和にあった。南方攻略作戦が一段落し、インド洋方面作戦が終了したので、連合艦隊水上部隊の主兵力を瀬戸内海西部に集結させ、基地航空部隊の大部分を太平洋東正面に配備して、次期作戦の準備に取り掛かっていた。
そんな最中に起きたのが、ドーリットルの東京空襲であった。
このころわが海軍は、ハワイ作戦の成功によって当面太平洋方面においては、撃ち漏らした米空母を中心とする機動部隊による“奇襲”を受ける程度であろうと読んでいた。しかし日本本土の太平洋に面する海岸線の総延長線は、3000マイルに及ぶ遠大なものだったから、敵機動部隊による奇襲を防止するのは極めて難しいところがあった。
兵力上、連日広範囲な偵察にも限度がある。そこで帝国海軍は、窮余の一策として南鳥島の北から千島南方にかけて、漁船を一列に配置した哨戒線を展張した。そして海軍の哨戒機にはさらに洋上遥か600マイル沖まで行動させた。
この「海上邀撃航空部隊」は、木更津基地を主幹として一部を南鳥島に分派した陸攻約80機を基幹とし、南方作戦から帰還した精鋭第26航空戦隊を加えたものであった。
4月10日午後6時30分ごろ、我が方は、空母2~3隻からなる米機動部隊が真珠湾北西約400マイルに進出し、14日頃には東京空襲を企図するかのごとき兆候を窺わせる無線情報を探知していた。
そこで哨戒部隊には700マイル圏内の綿密な捜索が命じられ、反撃計画も急速に樹てられていた。ところが敵機の発艦位置はおそらく海岸から300マイル付近だろうと見積もられたのである。
この見積もりに基づく作戦は、第一撃を魚雷攻撃、第2次攻撃は雷爆撃を集中して東京空襲を不可能にさせるというもので、さらにインド洋作戦を終えて帰還中の南雲機動部隊で追撃させとどめを刺そうというものであった。
その後敵の動きは不明のままだったが、4月18日午前6時30分に、海上哨戒線で監視中だった監視艇「第23日東丸(漁船)」から、「敵空母3隻見ゆ。我が地点犬吠岬の東600マイル」という緊急電が入る。
第26航空戦隊は直ちに攻撃準備を開始し、午前11時30分に触接機として陸攻3機を発進させた。その後哨戒線からの報告がなかったのは、第23日東丸が撃沈されたからで、発見されたことを知った米機動部隊は、直ちに日東丸の“口を封じて”B-25爆撃機を発艦させたのである。
他方この日、午前6時30分に哨戒に飛び立った哨戒機からは、午前9時45分に「敵の“双発機2機”を東京の東600マイル付近で発見」と報告があった以外、何ら報告がなく、情報は途絶していた。
そこで機会を逸することを危惧した攻撃部隊は午後零時45分、敵を求めて発進した。ところがこのころ、わが防空部隊は、敵の空襲は19日ころだろうと予測していて、横須賀鎮守府管区のみが午前8時39分に空襲警報を発令した以外は警報発令を手控えていた。
なぜこのような結果になったのかといえば、日本海軍では敵空襲は19日午前より以前に行われることは“絶対に”ありえないと判断していたからであり、その根拠は「空母から発艦するのは航続力の少ない艦載機」であるから300マイル圏外からはあり得ないという仮定に立っていたからである。
ハワイ攻撃作戦立案時にも、フィリピンに対するわが掩護戦闘機の航続力不足という前提で図上演習を行い、その結果ハワイ攻撃に踏み切ったように、今回もまたあろうことか、“敵の艦載機”の航続力不足を仮定した大失態だったのである。
戦争では、自分に都合がよい判断を適用してはならないのであり、「鵯越」や「桶狭間の戦い」など数々の古戦史に学んでいたはずの提督のやり方だとは思えない。
この「不意を突かれた東京空襲」という失態が契機となって、急遽ミッドウェー作戦が立案され、大本営は5月5日に山本連合艦隊司令長官に対し、陸軍と共同してミッドウェー及びアリューシャン西部要地の攻略を命令したのであったが、この作戦の敗因については、私は「いかにおっとり刀的構想であったか」と酷評したが、その根拠は次の「作戦方針」によく表れている。
≪作戦方向はミッドウェー島方面とアリューシャン群島方面とに二分するが、両者を緊密に連繋せしめる一体の作戦とし、要地の攻略作戦自体も重要な作戦目的であるが、この攻略作戦を契機として反撃のため出現を予期せられる敵艦隊を捕捉撃滅することも目的とする。従って敵が両方面の何れに集結出現した場合も、十分之に応じ得るよう有らゆる兵力配備を考慮し、連合艦隊決戦兵力を之に充て得る如くする≫
戦力を二分しておきながら「緊密に連携」するよう強要し、「要地攻略も重要」だが、「敵艦隊を捕捉撃滅すること」も大事だと二兎を追わせようとする。この支離滅裂で希望的“願望”を集約した作戦方針では、大部隊が動けるはずはない。
ミッドウェー作戦は負けるべくして負けた戦なのだが、なぜこんな“迷令”になったのかは、「ギャンブラー」の心理を研究する以外にはないであろう。(元空将)
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◎奥山篤信 映画評 ベルギー映画<少年と自転車LE GAMIN AU VELO/THE KID WITH A BIKE> 2011 ☆☆☆
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ベルギーの映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟が、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した作品。ちなみにダルデンヌ兄弟はカンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を成し遂げた。
無責任な父親に捨てられ、児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)が、キリスト教の愛に満ちた一人の女性によって、徐々に傷ついた心を開いていく姿を描く。この世にかかる慈愛に満ちた女性が存在するのかと思うほど、それは隣人愛に満ちた無償の行為としての愛、まさにルカ福音書10-30~35のサマリア人を連想させる女性である。あの<ジャック・メスリーヌ>のメスリーヌの情婦を演じたセシル・ドゥ・フランスの味のある演技が見ものである。
題材は良いのだがやや退屈を免れない。
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