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 『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
    平成24年(2012)2月29日(水曜日)
       通巻第616号  
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 二・二六事件76周年に思う
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                     矢野 一輝(会員)


一昨日2月26日は昭和十一年の二・二六事件から76周年にあたる。例年通り麻布・賢崇寺では蹶起して刑死した青年将校たちの慰霊祭が行われた。

この二・二六事件を三島由紀夫が如何にとらえたかは『英霊の聲』などいわゆる二・二六事件三部作に書かれているし、三島文学の読者ならすでにご承知のことゆえ紹介は省略する。

二・二六事件は一言で言えば昭和初期の大恐慌、そしてとくに東北農村を襲った農村恐慌がその引き金であり、資本主義経済の矛盾の犠牲者たる農民、労働者の救済を昭和維新断行によって実現しようとした青年将校たちの革命的蹶起であった。一般に二・二六事件の理論的指導者が北一輝でありその『日本改造法案大綱』が昭和維新のバイブルであったといわれているが、必ずしもそうとは言い切れない面も多くある。とくに青年将校たちの天皇観と北一輝のそれとはかなりのずれがあった。

 また昭和戦前期の陸軍史を皇道派と統制派の二大派閥の抗争ととらえて、皇道派=隊附青年将校、統制派=中堅幕僚クラスと分類するのも単純に過ぎる嫌いがあろう。最近出版された川田稔著『昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分析』(中公新書)は、冷静緻密に昭和陸軍の主要人物とその思想を分析した過去に例を見ない労作であり、興味のある向きには一読をすすめたい。

二・二六事件の青年将校たちを蹶起に突き動かしたのは当時の時代の閉塞的状況であった。スターリン統治下のソ連は五か年計画により急速に国力と軍備を増大させつつあり、極東におけるソ連の圧迫は日に日に強まりつつあった。昭和7年すでに満洲国は建国されていたものの、北はソ連の圧力、南は国民政府による反日革命外交の展開でその基盤は脆弱であった。

何よりも資本主義恐慌の埒外にあったソ連はもとより、米英など欧米諸国、そしてナチス・ドイツやファシスト・イタリーなどが強力な政治指導力の下で着々と経済危機から脱しつつあったのに対比して、日本(帝国憲法下の議会制民主主義であった)の指導者である政党政治家は何ら有効な国策も打ち出すことができずにいたことに対する焦燥感が青年将校たちの維新革命への思いをたぎらせていた。

 ひるがえって現在の日本の状況を見てみよう。まさに今私たちを覆っているのは時代的閉塞感である。自民党の長期政権に嫌気をさした国民がマニフェストに眩惑されて少しでも生活が向上するならと民主党政権を選択したものの、その答えたるやこの二年半ではっきりした。余りにも無残な結果として。その民主党もかつての自民党顔負けの内部抗争と権力闘争で今や政権党の体をなしておらず、このままでは議会政治は何も決められず、何も実行せぬまま無作為の日々を過ごすだけである。

いわゆるTPPやら女性宮家創設やらその正体がはっきりしない政策がボツになるだけならまだ結構だが、震災復興や経済再建そして山積する国防・外交の重要課題が放擲されたまま推移するならば、国民の怒りはまさに頂点に達する。♪天の怒りか地の声か そもただならぬ響きあり 民永劫の眠りより 醒めよ日本の朝ぼらけ♪ との「青年日本の歌」の歌詞が今ほど現実味を帯びているときはない。

私はここ数日ひたすら沈思黙考、二・二六の蹶起将校たちや三島由紀夫・森田必勝両烈士の憂国の至情に思いをはせるのである。おそらく多くの読者諸兄も同じ思いではなかろうか。
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 例会、イベント、勉強会のお知らせ
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5月までの当研究会の活動予定が以下の通り決まりました。会員の皆様のご参加をおまちします。
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春の墓参
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日時:  3月25日(日)14:00 多磨霊園・平岡家墓地
集合:  13:30 多磨霊園正門前「よしの家」
     府中市紅葉丘2-7-4
     ? 042(361)2176
http://www.yoshinoyasekizai.com/common/map.pdf

当日は三島研事務局スタッフが「よしの家」の前で三島由紀夫研究会と書いた紙を持って立っています。直接行かれる方は多磨霊園十区一種十三側 の平岡家墓地前にお越しください。
終了後「よしの家」にて直会を予定しています。
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国防講演会 
(主催:国防問題研究会、後援:三島由紀夫研究会)
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日時:  4月20日(金)18:30 (18:00開場)
会場:  中野サンプラザ8回研修室2
講師:  佐藤 守閣下(元航空自衛隊空将)
演題:  我が国を取り巻く2012年問題

講師プロフィール:昭和14年樺太生まれ、福岡県立修猷館高校卒、防大卒(第7期)、戦闘機パイロットを経て空幕勤務、空自幹部学校教官、第三航空団(三沢)、第四航空団(松島)、南西航空混成団(沖縄)の司令など常にわが航空防衛の第一線で活躍された。空将。現在は軍事評論家として活躍中。
『日本の空を誰が守るのか』(双葉新書)など著書多数。
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三島研究例会
(弊会会員を講師に迎えて行う会員勉強会です)
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日時:  5月25日(金)18:30~ (開場18:00)
会場:  中野サンプラザ8階研修室6
講師:  田中 秀雄氏 (会員、近現代史研究家)
演題:  石原莞爾の最終戦争論、そして支那朝鮮
(昨年9月に行われた満洲事変80周年記念講演の続編に当ります。)

講師プロフィール:昭和27年福岡県出身、慶應義塾大学文学部卒業 近現代史研究家、石原莞爾平和思想研究会、台湾研究フォーラム幹事。著書として『石原莞爾と小澤開作 民族協和を求めて』、『石原莞爾の時代 時代精神の体現者たち』(いずれも芙蓉書房出版)など多数。
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      メール  yukokuki@mishima.xii.jp
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