鳴霞さんからの情報です。
『 月刊中国 』 からの転載ですが、勿論、鳴霞さんの承諾を得ています。
鳴霞さんは日本人に事実を知って欲しいと願って活動しています。ですから 『 月刊中国 』 は転載可です。

鳴霞さんが 『 月刊中国 』 を政策するに当たっては当然取材や調査の経費も掛かっています。
そんな訳ですので、余裕のある方は購読してあげてください。

尚、鳴霞さんの新刊本 『 中国人民解放軍  知られたくない真実 』 が「光人社」から2012年2月に発刊されます。
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伝統の陸軍兵力に加え、念願の航空母艦など新鋭艦を続々建造、外洋進出への意欲を隠そうともしない中国。政権移譲の年を迎え、崩れつつあるようにも見える党と軍部とのパワーバランスの下、人民解放軍は何を目指そうとしているのか?周辺各国との緊張が高まる中、日本はどう対処すべきなのか? 「月刊中国」日本語版主編として独自のルートで中国の内部情報を精力的に収集してきた著者が、最新情報をもとに巨大な戦力の行方を明らかにする!
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『 月刊  中 国 』  2012年1月1日発行(115号 頁4~頁7 )より
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              栗原茂男
               【純日本人会】 http://www.junnihon.com/
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解放軍兵士4人武装脱走事件の背景と顛末





2011年11月9日16時、完全武装で脱走した解放軍兵士4人が、中央の特殊武装警察に追跡され、短時間の内に3人が射殺され1人が負傷し逮捕された。この事件はインターネットで一気に報道されたが、直後に全てが削除されて消えてしまった。

射殺された3人の兵士は、全員未成年だったという。負傷し逮捕された兵士は23歳で、17歳の時から入隊しているとのこと。

この事件に関して、中央は正確な情報を出さず、取材に対しても応答しない。

中共直轄の「鳳凰ネット」などのメディアは、海外での当該事件の報道を規制するのに必死である。中央も、事件報道がネットに流れて2時間後には一斉消去の作業に入っている。



4人の兵士は沈陽軍区に所属しており、中央軍事委員会副主席の徐才厚が率いていた部隊の若者たちである。この4人は自動歩兵銃と実弾795発を持って脱走した。11月9日午前中に吉林省の公安が緊急通知を発し、黒龍江省や遼寧省の公安、そして沈陽軍区や北京中央とも連携して4人の脱走兵士を追跡し、吉林省には戒厳令が発令された。

16時頃になり、遼寧省撫順市清原満族自治県の国道202号付近で警察隊が4人を発見し、壮絶な銃撃戦を展開した。結果、3人の兵士が射殺され、1人の兵士が負傷し逮捕された。



沈陽軍区司令の張又侠は、胡錦濤と習近平から7月に昇格させてもらって上将になったばかりである。脱走兵士4人が所属していたのは、この沈陽軍区の第16集団第46師団装甲団であり、この部隊はここ10年の内で3回も全軍師団旅団級訓練考査の最優秀に輝いた精鋭である。

第16軍の高光輝軍長(48才)は、7年前まで46師団副長をしていたが、ロシアに派遣されて育成され、「全軍優秀指揮官」として表彰されていた。

沈陽軍区司令の張又侠は規律厳格で知られており、ベトナム戦争の時には単独で敵の陣地を攻撃した勇猛さも有名である。だが今回の事件で、来年の18大会での昇格は難しくなったと見られている。



脱走兵士4人の所属部隊の通称は「65331部隊」であり、戦車中隊や装甲歩兵中隊や砲兵中隊から構成される機甲化部隊である。

持ち出された銃は、95式自動歩兵銃である。中国北方工業が1995年から生産を始めたもので、アメリカのM-16やNATOの突撃銃より優秀だという触れ込みである。レーザー暗視照準装置がセットされ、プラスチックを多用した3kgの重量しかないものである。この銃は解放軍香港駐屯部隊の標準装備品で、1997年に初めて公開された。

中国のネットで公開された吉林省公安の緊急通知には「某部隊」と書かれているだけで、脱走兵士4人の所属は明らかにされていない。



「中国新聞社」が11月10日、吉林省某部隊に所属する兵士4人が銃を持ち脱走したが既に制圧され、容疑者は死亡または負傷したが、詳細については権威ある部門が今後発表する、という記事を配信していたが取り消した。

他の中共系メディアは、この事件を一切報道していない。

11月11日に香港「星島日報」はネット情報を引用し、この事件の原因として、「この部隊の中士班長である楊帆の実家が、政府に強制取り壊しされたことである」と報道している。中国では土地は全て国有財産であるが、ここ10年ほどは強制立ち退きや家屋の取り壊しなどで、政府と人民の対立が激化しており、人民の不満は各地で爆発している。昨年度の抗議デモは18万回を数えている。



楊帆班長の実家は吉林省紅昇郷砺圧村にあったが、政府による家屋取り壊しにより大きな遺恨となっていた。楊帆班長は、部隊の銃を持ち帰って仇討しようと思っていたと供述している。

中国の東北地方の人心は昔から義理に厚く、友人のためなら命がけで活動する習慣がある。そのために、楊帆班長の部下3人は義侠心から武装脱走に協力したのである。

この楊帆(23才)は脱走兵士4人の中で最年長であり、軍歴6年、他の3人は18才と19才の未成年ばかりである。



楊帆の故郷は遼寧省撫順市新兵県紅昇郷、特殊武装警察との銃撃戦があった場所とは100㎞と離れていない。

「自由アジアテレビ」の11月11日の報道では、軍隊生活や退役軍人の実態を良く知る人の話として「軍隊の仲間は義理人情に厚い。特に農村出身の兵士たちは、友人のためなら命を投げ出すことを惜しまない。この4人は部隊から銃と実弾を盗み出し、そのままタクシーに乗って撫順の方向に走り去った。つまり、彼らが銃を使用する対象は、軍内にはいなかったということだ」としている。

吉林省公安部門は脱走兵4人の詳細を公表した。それによれば、楊帆以外の3人は、遼寧省沈陽市康平県出身の報話兵・林鵬、湖南省出身の照準手・張新巌(19才)、黒龍江省慶安県出身の照準手・李金(18才)である。これによってメディア記者は実家へ取材に殺到したので、現地警察は実家周辺を封鎖した。

ネット上には、4人の脱走兵が逃げた原因・事件の原因と経緯・当局は逮捕より銃殺を選んだ理由などを疑問だとする書き込みが殺到した。また別のネットでは、銃が部隊から持ち出された事の重大性や、軍隊内には冤罪が多いのではないかという書き込みも出された。

また、別のネットでは、こんな軍隊が国を守っているのかと呆れた声が書き込まれた。





中国人民解放軍では毎年、年末になれば軍人の退役シーズンになる。

部隊の武器に関しては、管理保管は一層厳しくなるので、これほどの銃と実弾を持ち出せたというのは不思議である。数十年来続いている軍人の人権侵犯によって、最近になって爆発した退役軍人のデモの中には、1964年から41回も続けられている核実験によって被爆した数万人の軍人の姿もある。核実験による被爆軍人に対する賠償問題は、全く解決していない。



脱走兵4人の銃殺は中央軍事委員会からの命令によるものだと見られている。

兵士が銃殺されるのは、戦場での「敵前逃亡罪」での銃殺があるが、これには法的な手続きが必要になる。また、「犯人を犯した兵士が、警告を無視して凶器を放棄しない場合」にも銃殺される。しかし、今回の4人の銃殺は、これらの場合に当てはまらない。

そう考えれば、今回の銃殺は中央軍事委員会からの命令ではないかという推測に信憑性がある。