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メールコラム「使える!ビジネス古典」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■No.36■■
物事を多面的に見るために
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このコラムは、「使える!ビジネス古典」と題し、弊社社長が会員様にも
是非お読みいただくことを薦めている「四書五経」を主に取り上げています。
四書五経と言えば、皆さんも良くご存知の通り、「儒学」の聖典と、
その解説書とも言えるものであり、儒学習得のために体系化された教科書
と言っても良いでしょう。
日本人の思想にも少なくない影響を与えた儒の思想を、四書五経を通じて
知ることは必須ですが、中国古典思想の中には、この儒の思想とは異なる
いくつかの思想も存在しています。
そして、物事の本質を理解するためには、物事を多面的に見る目を持つこと
が欠かせません。
そこで、今回からしばらくの間は、儒の思想から離れ、儒の思想と対立する
思想を持つ古典からのエピソードをお届けしたいと思います。
今回は、まず、儒家の根底にある「性善説」と真っ向から対立する「性悪説」
を唱えた「法家」の代表的著作、『韓非子』を取り上げてみます。
『韓非子』は、紀元前三世紀、中国の戦国時代末期に韓国の王族であった
韓非の著した政治思想書です。
孤憤(こふん)・五蠧(ごと)・説林(せつりん)・説難(せいなん)など
五十五篇から成り、後人の著作が混入しているという説もありますが、確証
はありません。
あまりにも過激な主張のため、本音としては共感しても表立って賛同すること
は憚られたため、古来、『論語』『孟子』『老子』『荘子』などに比べて
注釈書は多くありませんが、日本では、徳川時代に広く研究されました。
また、戦後の日本では、その抄訳が、『論語』と並んで広く読まれています。
韓非子は、きれい事を一切排除して、人間の奥底にある本音を冷徹にさらけ
出しています。
まさに身も蓋もないといった感もありますが、それらもまた人間の真実である
ことは、認めざるを得ないでしょう。
韓非子の考え方を要約すると、次の通りです。
「君主は人を信じてはいけない」
「親子ですら打算がある。まして臣君の情などというものを当てにしては
いけない」
「うっかり人に本心をさらけ出すと、それにつけこまれる」
「わざと逆のことを言って疑わしい相手を試すのは、人の本心をさぐる術
である」
こうして要約だけしてしまうと、殺伐とした気分になってきますね。
ただ、こうした思想の背景には、韓非子が、戦国の世で最も小国であった韓に
生まれ、西の秦、南の楚という大国から絶えず脅かされていた状況があったこと
を知れば、また違った感じ方となるのではないでしょうか。
当時、隣国の秦は領内の小都市や村落を直轄の県制度に組み直し、
君主のもとに強力な専制支配を進めた結果、国力を強大にしていました。
それに比べ、韓は、世襲貴族である重臣たちが、各々私門の拡大に汲々とし、
偽善的な道徳家、口先だけの学者たちが横行していたのです。
これを改革するためには、当時としては、君主の権限を強化し、重臣の勢力を
剥ぎ取る必要があったのです。
法治主義と君主の元での中央集権、それが祖国再生の唯一の方法である、と
韓非子は考えました。
実際、貴族の勢力を押さえて王の先制君主制支配を実現した秦は強大となり、
貴族たち旧勢力を温存しようとした他の国々は秦に滅ぼされています。
韓非子についての詳細は不明ですが、韓国の王族の一員だったと言われています。
儒の思想と比較してみると、韓非子の意見は冷酷で極端な見方のようにも
感じられますが、既存の制度を維持しようとする貴族たちとの陰湿な権力闘争
の中で、人間そのものの分析にまで及んだ韓非子の思想が、「性悪説」という
ものであったのでしょう。
こうした「性悪説」をそのまままるっと信じてしまうのは、時代背景の違う
現代に生まれた人間としていささか悲しいようにも思われます。
しかし、人間の深層心理には、こうした一面もあるという真実からも目を
背けず、その上で、他者との間に人間味のある温かな関係を築いていくことが
できれば、それに越したことはありません。
なまじ、人の良い面だけを見ていて後で裏切られたと腹を立てるより、
人間は初めから誰しも利害に左右されやすい一面を持っているということを
わきまえた上で、それも含めて信頼関係を築いていけば、かえって上手くいく
に違いありません。
人間のおぞましさをえぐり出している韓非子も、少し見方を変えれば、
経営者とスタッフの関係を始め、親子、夫婦、恋人同士など、様々な人間関係
に生かすことができるでしょう。
では、次回は、韓非子の中から、代表的な文言をご紹介していきます。
人間の深層心理に深くメスを入れるような韓非子の思想を、
その文章から感じ取ってください。
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ビジネス古典研究会
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物事を多面的に見るために
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是非お読みいただくことを薦めている「四書五経」を主に取り上げています。
四書五経と言えば、皆さんも良くご存知の通り、「儒学」の聖典と、
その解説書とも言えるものであり、儒学習得のために体系化された教科書
と言っても良いでしょう。
日本人の思想にも少なくない影響を与えた儒の思想を、四書五経を通じて
知ることは必須ですが、中国古典思想の中には、この儒の思想とは異なる
いくつかの思想も存在しています。
そして、物事の本質を理解するためには、物事を多面的に見る目を持つこと
が欠かせません。
そこで、今回からしばらくの間は、儒の思想から離れ、儒の思想と対立する
思想を持つ古典からのエピソードをお届けしたいと思います。
今回は、まず、儒家の根底にある「性善説」と真っ向から対立する「性悪説」
を唱えた「法家」の代表的著作、『韓非子』を取り上げてみます。
『韓非子』は、紀元前三世紀、中国の戦国時代末期に韓国の王族であった
韓非の著した政治思想書です。
孤憤(こふん)・五蠧(ごと)・説林(せつりん)・説難(せいなん)など
五十五篇から成り、後人の著作が混入しているという説もありますが、確証
はありません。
あまりにも過激な主張のため、本音としては共感しても表立って賛同すること
は憚られたため、古来、『論語』『孟子』『老子』『荘子』などに比べて
注釈書は多くありませんが、日本では、徳川時代に広く研究されました。
また、戦後の日本では、その抄訳が、『論語』と並んで広く読まれています。
韓非子は、きれい事を一切排除して、人間の奥底にある本音を冷徹にさらけ
出しています。
まさに身も蓋もないといった感もありますが、それらもまた人間の真実である
ことは、認めざるを得ないでしょう。
韓非子の考え方を要約すると、次の通りです。
「君主は人を信じてはいけない」
「親子ですら打算がある。まして臣君の情などというものを当てにしては
いけない」
「うっかり人に本心をさらけ出すと、それにつけこまれる」
「わざと逆のことを言って疑わしい相手を試すのは、人の本心をさぐる術
である」
こうして要約だけしてしまうと、殺伐とした気分になってきますね。
ただ、こうした思想の背景には、韓非子が、戦国の世で最も小国であった韓に
生まれ、西の秦、南の楚という大国から絶えず脅かされていた状況があったこと
を知れば、また違った感じ方となるのではないでしょうか。
当時、隣国の秦は領内の小都市や村落を直轄の県制度に組み直し、
君主のもとに強力な専制支配を進めた結果、国力を強大にしていました。
それに比べ、韓は、世襲貴族である重臣たちが、各々私門の拡大に汲々とし、
偽善的な道徳家、口先だけの学者たちが横行していたのです。
これを改革するためには、当時としては、君主の権限を強化し、重臣の勢力を
剥ぎ取る必要があったのです。
法治主義と君主の元での中央集権、それが祖国再生の唯一の方法である、と
韓非子は考えました。
実際、貴族の勢力を押さえて王の先制君主制支配を実現した秦は強大となり、
貴族たち旧勢力を温存しようとした他の国々は秦に滅ぼされています。
韓非子についての詳細は不明ですが、韓国の王族の一員だったと言われています。
儒の思想と比較してみると、韓非子の意見は冷酷で極端な見方のようにも
感じられますが、既存の制度を維持しようとする貴族たちとの陰湿な権力闘争
の中で、人間そのものの分析にまで及んだ韓非子の思想が、「性悪説」という
ものであったのでしょう。
こうした「性悪説」をそのまままるっと信じてしまうのは、時代背景の違う
現代に生まれた人間としていささか悲しいようにも思われます。
しかし、人間の深層心理には、こうした一面もあるという真実からも目を
背けず、その上で、他者との間に人間味のある温かな関係を築いていくことが
できれば、それに越したことはありません。
なまじ、人の良い面だけを見ていて後で裏切られたと腹を立てるより、
人間は初めから誰しも利害に左右されやすい一面を持っているということを
わきまえた上で、それも含めて信頼関係を築いていけば、かえって上手くいく
に違いありません。
人間のおぞましさをえぐり出している韓非子も、少し見方を変えれば、
経営者とスタッフの関係を始め、親子、夫婦、恋人同士など、様々な人間関係
に生かすことができるでしょう。
では、次回は、韓非子の中から、代表的な文言をご紹介していきます。
人間の深層心理に深くメスを入れるような韓非子の思想を、
その文章から感じ取ってください。
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