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メールコラム「使える!ビジネス古典」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■No.33■■
脳科学と古典に共通する、あなたにとって重要なこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人間の脳には、社会環境に応じて臨機応変に最適な行動を行う能力があります。
脳が持つこの能力、つまり“社会的脳機能(Social Brain Function)”は、
自身を取り巻く他者を含んだ社会環境の中で、何を行うとどのような
社会的リスクが生じ、どのくらい自己の利益が獲得できるかを比較しながら
最も少ないリスクで最大の利益を得る選択を行っていると考えられています。
平成19年、理研脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チームは、
2匹のサルを使った実験で、頭頂葉の神経細胞が、他者との社会的相互関係
に応じて仕組み(機能)を変えることを発見しました。
頭頂葉は、前頭前野とならぶ大脳皮質連合野の一つで、
この領域で、視覚、体性感覚、聴覚などさまざまな情報が統合されることで、
環境及び空間認知に大きな役割を果たしていると考えられています。
この発見は、脳の空間認知機構が、社会環境の変化に応じて
神経細胞一つ一つのレベルで大きく切り替わることを示した、
世界初の成果でした。
しかし、そんな研究チームの発表を待つまでもなく、多くの人は、
環境が人に与える影響の大きさを、経験的に知っています。
みなさんもご存じだと思いますが、「環境」の重要性を語るとき、
よく引き合いにだされるこんな言葉があります。
「孟母三遷」
これは、漢の劉向(りゅうきょう)が著した『列女伝』にあるエピソード
から出ています。
孟子はまだ幼い頃、父に死なれ、母の手ひとつで育てられました。
家が墓地の近くにあったため幼少の孟子が葬式のまねばかりしているのを
見た母は、これは教育に悪いと思い、市場の近くへ引っ越しました。
ところが今度は、商売のまねばかりをするようになったので、ここも教育
に悪いと思い、そこからまた学校のそばへと移りました。
三度目に初めて、孟子は祭祀や儀礼のまねをするようになったので、
我が子を教育するのに適した環境はここだと思い、そこに住むことにした
という話です。
ついでですので、孟母のエピソードをもうひとつ。
成人した孟子が遊学の旅に出て、その修行の途中で家に帰ってきました。
すると、母はおりかけていた機をハサミでばっさりと断ち切って、
びっくりする孟子にこう言いました。
「学問を途中で止めるのはこれと同じです。
完成させなければ何の役にも立ちません」
その後孟子は一心不乱に勉強に打ち込み、ついには大学者になりました。
さて、このように母の教えを受けた孟子は、戴不勝(たいふしょう:宋の国
の重臣)とこんなやりとりをしています。
_________________________________
孟子が戴不勝に言った。
「あなたは、王が立派な君主になることを望みますか。もしそうなら、
私はあなたにはっきりと申し上げましょう。よく考えてください。
今ここに、楚の国の大臣がいると仮定し、その大臣は、息子に斉の国の
言葉を習わせたいと希望したとします。
その場合、斉の国の人を先生に選びますか、それとも、楚の国の人で
しょうか。」
戴不勝は言った。
「それはもちろん、斉の国の人です。」
「なるほど。しかし、斉国の人たった一人が先生になって、その息子に斉語
を教えても、その周りで多くの楚人がガヤガヤと楚語で話をしていれば、
例え毎日毎日むちうつような厳しい教育をしても、斉国の言葉は身につかない
でしょう。これとは反対に、息子を斉国の荘とか嶽(がく)とかいうにぎやか
な町に連れて行き、数年間置いたならば斉語が完全に身についてしまい、
自国の楚語を使うように仕向けても全然思い出せないでしょう。
あなたは今、薛居州(せつきょしゅう)を有徳の士だと言って、宋国の王の
側近に加えました。それはよいことです。
確かに王の周りのものがすべて彼のような人物なら、王が不善を行おうと
しても行えないはずです。嫌でも、善をおこなうようになります。
しかし、王の周りのものがすべて彼とは反対の人物なら、王が善を行おうと
しても行えないでしょう。嫌でも、不善をおこなうようになってしまいます。
先のたとえ話のように、一人の薛居州がいくら王を鞭打っても、周りが悪け
ればだめなのです。そういうわけだから、たった一人の薛居州を王の側に
置いただけでは、宋王をどうすることもできないのです。
本当に宋王を善導しようと思うならば、王の周囲に、多くの有徳の士を
置かなければならないのです。」
(縢文公章句下)
_________________________________
孟子は、宋に滞在していた時、頼れる側近薛居州ただひとりを置いただけで
十分役割を果たしたと思っていた重臣の戴不勝に対して、それだけでは
王のためになる環境を整えたとはいえず、怠慢であることを伝えるため、
語学習得を例にして戴不勝を戒めました。
このエピソードを一度あなた自身に置き換えて考えてみてください。
例えば、あなたの周りには、あなたが自身の人生やビジネスに
前向きに取り組むことを邪魔立てするような人はいないでしょうか?
何か新しいことを始めようとする度に、「うまくいくはずがない」だの
「やめておけ」だのと言って、やる気を削ごうとする人や、あなたが何かを
学ぼうとしているのに、「いまさらやっても仕方ない」だの、
「どうせ身に付きはしない」だのと言って、学ばせまいとする人は、
いかがでしょう?
もし、そうした人たちと親しく付き合っているのだとしたら、
孟母三選のエピソードではありませんが、今すぐ、付き合う人物を変える
べきでしょう。
あなたを取り巻く環境の重要性は、古典の中でも、最新の脳科学でも、
こうして証明されているのですから。
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ビジネス古典研究会
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脳が持つこの能力、つまり“社会的脳機能(Social Brain Function)”は、
自身を取り巻く他者を含んだ社会環境の中で、何を行うとどのような
社会的リスクが生じ、どのくらい自己の利益が獲得できるかを比較しながら
最も少ないリスクで最大の利益を得る選択を行っていると考えられています。
平成19年、理研脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チームは、
2匹のサルを使った実験で、頭頂葉の神経細胞が、他者との社会的相互関係
に応じて仕組み(機能)を変えることを発見しました。
頭頂葉は、前頭前野とならぶ大脳皮質連合野の一つで、
この領域で、視覚、体性感覚、聴覚などさまざまな情報が統合されることで、
環境及び空間認知に大きな役割を果たしていると考えられています。
この発見は、脳の空間認知機構が、社会環境の変化に応じて
神経細胞一つ一つのレベルで大きく切り替わることを示した、
世界初の成果でした。
しかし、そんな研究チームの発表を待つまでもなく、多くの人は、
環境が人に与える影響の大きさを、経験的に知っています。
みなさんもご存じだと思いますが、「環境」の重要性を語るとき、
よく引き合いにだされるこんな言葉があります。
「孟母三遷」
これは、漢の劉向(りゅうきょう)が著した『列女伝』にあるエピソード
から出ています。
孟子はまだ幼い頃、父に死なれ、母の手ひとつで育てられました。
家が墓地の近くにあったため幼少の孟子が葬式のまねばかりしているのを
見た母は、これは教育に悪いと思い、市場の近くへ引っ越しました。
ところが今度は、商売のまねばかりをするようになったので、ここも教育
に悪いと思い、そこからまた学校のそばへと移りました。
三度目に初めて、孟子は祭祀や儀礼のまねをするようになったので、
我が子を教育するのに適した環境はここだと思い、そこに住むことにした
という話です。
ついでですので、孟母のエピソードをもうひとつ。
成人した孟子が遊学の旅に出て、その修行の途中で家に帰ってきました。
すると、母はおりかけていた機をハサミでばっさりと断ち切って、
びっくりする孟子にこう言いました。
「学問を途中で止めるのはこれと同じです。
完成させなければ何の役にも立ちません」
その後孟子は一心不乱に勉強に打ち込み、ついには大学者になりました。
さて、このように母の教えを受けた孟子は、戴不勝(たいふしょう:宋の国
の重臣)とこんなやりとりをしています。
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孟子が戴不勝に言った。
「あなたは、王が立派な君主になることを望みますか。もしそうなら、
私はあなたにはっきりと申し上げましょう。よく考えてください。
今ここに、楚の国の大臣がいると仮定し、その大臣は、息子に斉の国の
言葉を習わせたいと希望したとします。
その場合、斉の国の人を先生に選びますか、それとも、楚の国の人で
しょうか。」
戴不勝は言った。
「それはもちろん、斉の国の人です。」
「なるほど。しかし、斉国の人たった一人が先生になって、その息子に斉語
を教えても、その周りで多くの楚人がガヤガヤと楚語で話をしていれば、
例え毎日毎日むちうつような厳しい教育をしても、斉国の言葉は身につかない
でしょう。これとは反対に、息子を斉国の荘とか嶽(がく)とかいうにぎやか
な町に連れて行き、数年間置いたならば斉語が完全に身についてしまい、
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あなたは今、薛居州(せつきょしゅう)を有徳の士だと言って、宋国の王の
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確かに王の周りのものがすべて彼のような人物なら、王が不善を行おうと
しても行えないはずです。嫌でも、善をおこなうようになります。
しかし、王の周りのものがすべて彼とは反対の人物なら、王が善を行おうと
しても行えないでしょう。嫌でも、不善をおこなうようになってしまいます。
先のたとえ話のように、一人の薛居州がいくら王を鞭打っても、周りが悪け
ればだめなのです。そういうわけだから、たった一人の薛居州を王の側に
置いただけでは、宋王をどうすることもできないのです。
本当に宋王を善導しようと思うならば、王の周囲に、多くの有徳の士を
置かなければならないのです。」
(縢文公章句下)
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孟子は、宋に滞在していた時、頼れる側近薛居州ただひとりを置いただけで
十分役割を果たしたと思っていた重臣の戴不勝に対して、それだけでは
王のためになる環境を整えたとはいえず、怠慢であることを伝えるため、
語学習得を例にして戴不勝を戒めました。
このエピソードを一度あなた自身に置き換えて考えてみてください。
例えば、あなたの周りには、あなたが自身の人生やビジネスに
前向きに取り組むことを邪魔立てするような人はいないでしょうか?
何か新しいことを始めようとする度に、「うまくいくはずがない」だの
「やめておけ」だのと言って、やる気を削ごうとする人や、あなたが何かを
学ぼうとしているのに、「いまさらやっても仕方ない」だの、
「どうせ身に付きはしない」だのと言って、学ばせまいとする人は、
いかがでしょう?
もし、そうした人たちと親しく付き合っているのだとしたら、
孟母三選のエピソードではありませんが、今すぐ、付き合う人物を変える
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