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メールコラム「使える!ビジネス古典」

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指導者に必要な九徳 
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経営者であれば誰しも、“リーダー”としての自身について、
思いを巡らせることがあると思います。

それは、大成功を収めた経営者であっても同様のようです。

あの松下幸之助氏は、 『指導者の条件』という自著の中で、
実に102もの指導者の条件を挙げています。

それは、例えばこのような条件です。

・指導者はいうべきことをいうきびしさを持たなくてはならない
・指導者には適度のきびしさとやさしさが必要である
・指導者は失敗の原因はすべてわれにありと考えるべきである
・指導者は是は是とし非を非とする見識を持たねばならない
・指導者はあらゆる面で私心なく公平を期さなくてはならない
・指導者はその組織の中で一番謙虚で感謝を知る人でなくてはいけない
・指導者の力強さは使命感を持つところから生まれる
・指導者は小事をおろそかにしてはならない
・指導者はじっと時を待つ忍耐心を持たなくてはならない
・指導者は戦わずして勝つことをめざさなくてはならない

そして、こうした項目を書きながら、自分がいかに実行できていないか
を改めて感じたとも言われています。

この謙虚さもまた松下幸之助氏らしさでしょう。

ちなみに、書中の小見出しには、「謙虚と感謝 」という言葉だけが、
2度繰り返し出てきます。


しかし、幸之助氏は同時に、102の項目のうち、

「どれか1つでも、ゼロであることは駄目だ。仮に30パーセントでも、
あるいは20パーセントでも、その項目が実行できているという状況で
なければならない。80パーセントの項目があれば、別に30パーセントや
20パーセントの項目があってもよい。
ただ、もしゼロのものがあるならばどれほど他のものができていても、
指導者としての資格はない」

と厳しく言っています。


やはり成功した経営者として注目されているSBIホールディングスの
北尾吉孝氏も、幸之助氏の挙げる102項目に共感し、
著書『人物をつくる』の中でその意を示しています。

102の中には、他にどのような項目が挙げられているのかは、
皆さまそれぞれにご確認ください。


さて、現代の優秀な経営者は、102の項目でリーダー像を語りましたが、
『書経』の中では、舜の重臣だった皋陶(こうよう)が、リーダーの条件
ともいえる九徳(きゅうとく)を示しています。



  皋陶(こうよう)曰く、「都(ああ)、亦行いに九徳有り。亦其の有徳
  を言ひ、乃ち言いはん、曰く、載(さい)は采采(さいさい)」と。
  禹(う)曰く、「何ぞ」と。皋陶曰く、「寛(かん)にして栗(りつ)、
  柔(じゅう)にして立(りつ)、愿(げん)にして恭(きょう)、
  亂(らん)にして敬(けい)、擾(じょう)にして毅(き)、
  直(ちょく)にして瘟(おん)、簡(かん)にして廉(れん)、
  剛(ごう)にして塞(さい)、彊(きょう)にして義(ぎ)。
  彰(あきら)むるは、家を有せん。日に嚴(げん)に六徳を
  祗敬(しけい)し。采(こと)を亮(たす)くれば、邦(くに)を有
  せん。翕(あわ)せ受け敷(あまね)く施し、九徳咸(みな)事(=立)
  ち、俊がい官に在り、百僚・師師・百工、惟れ時く五辰(ちょう=長)
  に撫(したが)ひて、庶績(しょせき)其れ疑(な)らん」と。
  

 ***解釈***

  皋陶はいう、「ああ、人間の行為には九つの徳がある(べき)でござい
  ます。(人をみるときは)その(備えている)徳をいい、さらに進んで、
  その人の実行力はかくかくの事をなしとげるという(べき)でござい
  ます。」禹が(それを聞いて)いう、「(それは)何でございましょう
  か。」皋陶が(解説して)いう、「(九つの徳とは)寛容(心広く)で
  しかも厳律(きびしい)であること、和柔(おだやか)でしかもしまり
  があること、謹愿(きんげん=つつましやか)でしかも供辨(ものごと
  をてきぱきと処理する)であること、治理(物事に明敏)でしかも
  敬慎であること、柔順でしかも果毅(かき=決断力に富む)であること、
  正直でしかも温和であること、簡約(おおまか)でしかも廉正(筋道を
  立てる)であること、剛毅(意志が強い)でしかも塞淵(思慮深い)で
  あること、彊力(実行力に富む)でしかも義善(道理をわきまえている)
  であることでございます。明らかにこの九徳をたえず行っているならば、
  (まことに)良いことでございます。日々に(九徳のうちの)三徳を
  宣(の)べ行い、おそれつつしんで大いに勉めるものは家を有(も)つ
  でしょう。(卿大夫となるべき人物であるの意)。日々に(九徳のうち
  の)六徳を厳しく敬い行い、(帝)の事を助けるものは、邦を育つで
  しょう(諸侯となるべき人物であるの意)。(かくて帝が九徳を)合わせ
  受けて普(あまね)く施(し)き行い、九徳がことごとくたちますと、
  俊がいが官にいて、百の役所、百の工(つかさびと)たちは、よく五長
  (司徒・司馬・司寇(しこう)・司空・大宗伯のたぐいをいう)に順
  (したが)って、庶(もろもろ)の実績が成就するでしょう。」

 **********
  
 
 九徳を分かりやすくまとめると次の通りです。
  
 1、「寛(かん)にして栗(りつ)」 心が広くて厳しい面もある。
 2、「柔(じゅう)にして立(りつ)」おだやかでしまりがある。
 3、「愿(げん)にして恭(きょう)」つつましやかで、物事をてきぱきと
                 処理する。
 4、「乱(らん)にして敬(けい)」 物事に明るく有能だが、相手を敬い
                 立てる。
 5、「擾(じょう)にして毅(き)」 大人しいが、決断力を持つ。
 6、「直(ちょく)にして温(おん)」正直で温和である。
 7、「簡(かん)にして廉(れん)」 大らかで、筋道立っている。
 8、「剛(ごう)にして塞(さい)」 意志が強く思慮深い。
 9、「彊(きょう)にして義(ぎ)」 実行力に富み、道理をわきまえている。


九つ全てを実行できれば、もろもろの実績が成就するとされていますが、
もちろん、それは簡単なことではありません。

しかし、松下幸之助氏も語ったように、20%でも30%でも実行できるよう
努力を重ね、喜んでついてきてくれる社員たちとともに、もろもろの実績を
成就させていきたいものです。
  


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