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メールコラム「使える!ビジネス古典」

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備えあれば患いなし 
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印かん、現金、救急箱、貯金通帳、懐中電灯、ライター、缶切り、
ロウソク、ナイフ、衣類、手袋、ほ乳びん、インスタントラーメン、
毛布、FM文字多重放送受信機能付ラジオ、食品、ヘルメット、
防災ずきん、電池、水


これらは、総務省消防庁のHPに掲載されている「防災グッズ」で、
非常持ち出し袋の中に、最低これだけは必要であるとされている品物です。

あなたのご家庭では、これら全てを災害に備えて日頃から備えているで
しょうか?


平成7年、1月7日に起きた阪神・淡路大震災は、大きな被害の爪痕とともに
災害の威力を忘れつつあった日本人に、その恐ろしさを再認識させました。


大きな被害を受けた地区には、重い屋根など古い構造の建物が多く、
細い路地や密集した建築状況も、被害を増幅し、被災者の救助を困難にした
要因だったようです。


当時、「東海大地震がいつか必ず来る」と言われていて、東海地区では
この震災に備えて準備する家庭も多くありましたが、
関西地区への大地震はあまり予測されておらず、
家庭レベルでの準備も足りなかったのでしょう。


この阪神・淡路大震災を契機として、防災グッズなどを常備する家庭が増え、
多くの設計組織において耐震設計のあり方も見直されました。


「備え有れば、患(うれ)い無し」

というわけです。


この有名な格言、「備え有れば、患い無し」は、みなさんご存知の通り、
「あらかじめ備えができていれば、心配ごとは無くなる。」という意味です。

実は、これも、『書経』説命・中に出てくる一節です。

『書経』は、夏・殷・周の時代の歴史をまとめた史書でもあり、
この言葉は、殷の高宗の話として出てきます。


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高宗が優れた補佐役を得た夢を見て、国中を探させたところ、
傅巌(ふげん)の谷で傅説(ふえつ)を見つけて宰相に取り立てます。

その傅説は、高宗にこう進言します。

「すべての患いごとや禍いは、形がないところから起こって来る。
したがって上に立つ王は、何事もない平素からなすべきことをしっかり
やっておかなければならない。
そうすることによって自然にあらかじめ備えができて、
備えがあれば心配ごとはなくなる。」

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また、『春秋左氏伝』襄公(じょうこう)にも、この『書経』を踏まえた
次のような一節があります。



 安きに居りて危うきを思う。思えば即ち備えあり。
 備えあれば患いなし」


 ***解釈***
 
 書に、「安きにおりて危きを思え」とありますが、
 思い計れば備えが立ち、備えが立てば禍にもあわないわけです。

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これは、晋の武将であり政治家でもあった、魏絳(ぎこう)が、
諸侯をまとめ上げた働きを讃えられ、候からその褒美にと、
女の楽人と楽器を与えられた際に、これを辞退して語った言葉の一部です。


魏絳は、物事が順調で、上手くいっている時こそ、
女と歌って遊んでいないで、この先悪くなった時のことも考えて、
備えの手を打っておくべきだというのです。


その月の売上目標を達成して、打ち上げとばかりに飲み会を開き、
カラオケやオネエチャンの居る店をはしごしているような営業マンには
耳の痛い言葉かもしれませんね。


備えあれば患いなし、と言えば、アメリカ16代大統領、リンカーンは、

「私は機会の到来に備えて学び、
 いつでも仕事にかかれる体勢を整えている」

と語っています。


また、「私の人生における成功のすべては、どんな場合でも必ず15分前に
到着したおかげである」と語ったイギリス海軍のネルソン提督は、
必ず早目に目的地に到着し、式の統一や友軍への連絡を怠らなかったと
いいます。

彼が、ナポレオンが唯一勝てなかった相手として、歴史に名を残したのも、
備えあれば……の心構えがあったからに違いありません。

弊社社長も、セミナーや面談などではしばしば、経営者のみなさんや
学生のみなさんに、「準備力」の重要性をお伝えしております。


なぜなら、大変優秀で経験もある経営者の方や、学生さんたちであっても、
目前に迫ってはいない危機や、具体的に思い描くには先すぎる出来ごとに
「備える」ことは難しいからです。


しかし、相手が打つであろう様々な手を1手でも多く想像し、
それに備えた手を打つ棋士が勝利するように、
他社はまったく考えないような状況までをも想像して、
それに対応できるよう準備をしている経営者であれば、
他社が行き詰ってしまう状況が訪れても、勝ち残っていくことが
できるでしょう。


書経や春秋左氏伝にも見る、広く深い意味での「備え有れば患い無し」を
日々の行いの指針としていきたいものです。


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