『南京虐殺記念館』を訪れ、前稿の末尾にこう書いた。【一枚の写真の前に、長いこと立ち尽くした。二人の日本軍将校が写っている。野田毅少尉と向井敏明少尉だ。二人はいわゆる『百人斬り競争』事件で、ここ雨花台で銃殺された。見ているうちにムラムラと日本の司法、とりわけ最高裁への怒りが湧いてきた。】
本誌の読者なら『百人斬り競争』事件の虚妄については周知のことだろう。しかし最近も若い人との会話で『それって何ですか?』と問われたことがある。よって事件のタテヨコを略記しておきたい。
昭和十二年、東京日日(毎日新聞)は『百人斬り競争!両少尉、早くも八十人』の見出しを掲げた。南京へ進撃の途上、野田、向井、両少尉が百人斬りを競ったとする。『五十六人斬って、刃こぼれがたった一つしかないぞ』浅海一男記者の曲筆舞文は四回におよんだ。要は戦意高揚の創作記事だ。その実、向井少尉は左膝と右腕に貫通銃創を受け、百人斬りどころではない。日本刀の工学からしてもヨタ記事だ。
十一年後、復員した二人は南京に呼び戻され、右の記事を唯一の証拠に処刑された。浅海が『あれは私の創作』と言えば、一件落着となる。なのに彼が南京軍事法廷に送った証明書はそっけない。『記載した事実は両氏より聞きとって記事にしたもので、現場を目撃したことはありません』
二十三年後の昭和四十六年、朝日新聞が連載した本田勝一記者の『中国の旅』は、右の『事件』を『殺人ゲーム』として一段と誇張した。ために遺族らは『戦犯の子』『日本の恥』と罵られる。向井少尉の次女にいたっては、夫から『殺人者の娘』呼ばわりされ、ついには離婚となる。
両少尉の『汚名』は、そのまま遺族に受け継がれた。それがどんなに遺族を苦しめたことか。〇三年、遺族三人は朝日、本多、毎日を提訴した。向井少尉の長女・恵美子クーパーさんと千恵子さん、それに野田少尉の妹・マサさんの三人だ。
毎日新聞発行の『昭和史全記録』に『百人斬りは事実無根』とある。なのに毎日は裁判で『執筆者の勝手な見解で、社の公式な見解ではない』と強弁した。さらには『新聞に事実を報道する法的義務はない』と述べて原告らを驚かせた。
本多は証人尋問に応じなかった。裁判官は『証拠を書面で出せ』と命じたが、確たる証拠は出されなかった。出せるはずもない。『これは中国人の言ったことを書いたもので、抗議は中国にしてくれ』といった態度に終始した。要は中国側の拡声器を自認するに等しい。
裁判は一審二審とも敗訴平成十八年末、最高裁は上告を却下した。以上の委細は遺族三人の痛憤の共著『汚名』(WAC出版)と、原告側の弁護人をつとめた稲田朋美氏(衆議院議員)の『百人斬り裁判から南京へ』(文春新書)に詳しい。 【以上 『月刊 WiLL 2010.6月号より抜粋】(②へ続く)
【浅海一男】【本多勝一(崔 泰英=在日朝鮮人)】【変態新聞⇒毎日新聞】については検索されたし
本誌の読者なら『百人斬り競争』事件の虚妄については周知のことだろう。しかし最近も若い人との会話で『それって何ですか?』と問われたことがある。よって事件のタテヨコを略記しておきたい。
昭和十二年、東京日日(毎日新聞)は『百人斬り競争!両少尉、早くも八十人』の見出しを掲げた。南京へ進撃の途上、野田、向井、両少尉が百人斬りを競ったとする。『五十六人斬って、刃こぼれがたった一つしかないぞ』浅海一男記者の曲筆舞文は四回におよんだ。要は戦意高揚の創作記事だ。その実、向井少尉は左膝と右腕に貫通銃創を受け、百人斬りどころではない。日本刀の工学からしてもヨタ記事だ。
十一年後、復員した二人は南京に呼び戻され、右の記事を唯一の証拠に処刑された。浅海が『あれは私の創作』と言えば、一件落着となる。なのに彼が南京軍事法廷に送った証明書はそっけない。『記載した事実は両氏より聞きとって記事にしたもので、現場を目撃したことはありません』
二十三年後の昭和四十六年、朝日新聞が連載した本田勝一記者の『中国の旅』は、右の『事件』を『殺人ゲーム』として一段と誇張した。ために遺族らは『戦犯の子』『日本の恥』と罵られる。向井少尉の次女にいたっては、夫から『殺人者の娘』呼ばわりされ、ついには離婚となる。
両少尉の『汚名』は、そのまま遺族に受け継がれた。それがどんなに遺族を苦しめたことか。〇三年、遺族三人は朝日、本多、毎日を提訴した。向井少尉の長女・恵美子クーパーさんと千恵子さん、それに野田少尉の妹・マサさんの三人だ。
毎日新聞発行の『昭和史全記録』に『百人斬りは事実無根』とある。なのに毎日は裁判で『執筆者の勝手な見解で、社の公式な見解ではない』と強弁した。さらには『新聞に事実を報道する法的義務はない』と述べて原告らを驚かせた。
本多は証人尋問に応じなかった。裁判官は『証拠を書面で出せ』と命じたが、確たる証拠は出されなかった。出せるはずもない。『これは中国人の言ったことを書いたもので、抗議は中国にしてくれ』といった態度に終始した。要は中国側の拡声器を自認するに等しい。
裁判は一審二審とも敗訴平成十八年末、最高裁は上告を却下した。以上の委細は遺族三人の痛憤の共著『汚名』(WAC出版)と、原告側の弁護人をつとめた稲田朋美氏(衆議院議員)の『百人斬り裁判から南京へ』(文春新書)に詳しい。 【以上 『月刊 WiLL 2010.6月号より抜粋】(②へ続く)
【浅海一男】【本多勝一(崔 泰英=在日朝鮮人)】【変態新聞⇒毎日新聞】については検索されたし