一昨年秋『文化大革命の大虐殺者』の著者、宋永毅先生が米国から来日した際、宋先生と靖国神社に参拝しました。宋先生は、自然と人間の魂が調和している靖国神社を『すばらしい大和心』と絶賛しました。私も、古代中国の仏教建築を彷彿とさせる靖国神社の清潔にそびえ立つ姿を前にして凛とした神聖な気持ちになりました。社頭で手と口を清める作法もすばらしい。
驚いたことは神社には遺骨がなく霊魂を祀っていることです。一度合祀すると祀られているすべての霊が一本のロウソクの炎のようなものになっていると教えられました。A級戦犯も含めてこの魂を分祀するのは不可能であることがようやく分かったのです。これは日本の伝統的精神文化であり、他国が批判することのできない文化の違いなのです。境内には従軍した馬、犬、鳩なども本殿の脇に祀られていることを知り、日本人のやさしさに感銘を受けました。
私の知人の20代の中国人留学生は『日本の街は好きだけど、夢にまでくり返し出てくる残虐な日本人は嫌いです』と言います。悪夢を見るまでの反日教育に私はゾッとしますが、中国に言論の自由が保障され実態が知らされれば、このような反日洗脳も溶けるでしょう。
一昨年12月、私は米国で開催された中国問題国際会議に講師として招かれ、いろいろな報告をしてきました。現在中国の国定教科書には天安門事件、チベットでの虐殺、ベトナム侵略、朝鮮戦争の真実などは一切記述されていません。また元が2回日本を侵略したことも書かれていません。
わたしは、日本に来るまで中国が大躍進政策の失敗で2,000万人の餓死者を出し、文化大革命で2,400万人の命が奪われたことを知りませんでした。中国共産党が日本に対して『正しい歴史認識』を問うのであれば、これらを中国人民に対して知らしめるのがフェアなやりかたではないでしょうか。
中国の歴史(教科書)は、政治権力が変わればその都合によって変わります。その意味で、正しい歴史は日本で学べるというのが今の実感です。いつの日か中国が正しい歴史に基づいて民主主義国家になることを夢見ています。【以上 SAPIO 2005.5.25 鳴霞氏】