競合という存在【前編】 | チャンピオンマニアの視点

チャンピオンマニアの視点

チャンピオンTシャツ、リバースウィーブを中心にマニアの視点で50~90年代まで幅広いアイテムの細部を詳しく解説していきます!また、チャンピオンの魅力をIVYに始まる東海岸のカルチャー、70sの西海岸カルチャーの中から当時の写真を交えながら迫っていきたいと思います!

製造業のメーカーがいい商品を作るにあたりとても重要なのが競合という存在。

 

チャンピオンも同様でもちろん競合の存在があってのチャンピオンだったと言ってもいい。

 

今回はスウェットをベースに年代別の競合メーカーを紹介しながら話をしたかと。

 

極力ストア系ではなくアスレチックメーカーを揃えてみました。

 

40s

40s頃のチャンピオンはおそらくそれほど規模も大きくなかったので

上のようなメーカーとほぼ肩を並べる程度だったんじゃいかと。

もしかしたらSPALDINGやLOWE&CAMPBELLのほうが

アスレティックウェアいや、アスレチックグッズメーカーとしては

有名だったんじゃないかと思います。

この年代のチャンピオンはコットンウェアが少なく

ウールのアイテムが多かったです。

チャンピオンのコットンものでは競技用のタンクトップ、Tシャツか

SPALDINGと酷似したベンチコート替わりの

ロックフードのWフェイスのパーカーあたり。

そして、言えるのがこの年代のアスレティックウェアは

チャンピオンに限らず、どれも作りは最高だし、生地の質、縫製も最高。

 

 

50s

50sに入るとチャンピオンの販売網は大学の生協に広がっていきます。

それと同じような展開を図ったのはHANES。

HANESは販売面で一番の競合だったんじゃないかと。

WILSON、RUSELLはアスリート向けに商品展開。

Duxbakはわが道を行くといったとこでしょうか。

そして、この年代から下のようなメーカー不明の「Sportswear」タグが増えてきます。

これ、ほんといろいろありますよね。

そして、地元のSports Shopもスウェットやパーカーのオーダー生産を受けるなど

50s後半からは多くのメーカーによる戦国時代に突入していく。

 

とはいえ、この年代はアメリカが一番裕福だった時。

なので機械化による大量生産もされながらも

最高の質のものだったといえるでしょう。

 

 

60s

60sでは老舗メーカーのメイン販売網のスタイルはほぼ50sと同じ展開だったと思われます。

しかし、50s後半から

公営組織、非営利団体等の行政機関をメインに展開を図ったのがRUSELL。

この販売網の成功で急速に拡大していくRUSSELL。

古着の発見率からも50s後半からはRUSSELLが物量としては

一番多かったのではないかと思います。

なので、60sのチャンピオンの最大の競合はRUSSELLだった。

 

さらに50sの後半からは

老舗メーカーだけでなくファクトリー系OEMも乱立。

これがスウェット戦国時代にさらなる拍車をかけました。

ファクトリー系OEMとは下のような小さな紙タグに

素材・サイズ・RNナンバーのみを表示したものを

縫い目に付けたメーカータグのないスウェット達。

これは洗濯していくと無くなってしまうので

古着でよくUNKOWNなんて紹介されているものほぼこれです。

 

このような中小のファクトリー系OEMが増えたおかげで価格競争も激しくなり

60sではチャンピオンは付加価値のあまりない生協に卸していたスウェットの一部は

ファックトリー系のOEMにその生産を委託していきました。

(もちろん、チャンピオンだけではないですが)

委託した製品は下の写真のようにタグだけを後から縫い付けたものになります。

ではこの価格競争に勝てず、経営状態が弱体化したのはどこか。

それはHANES。

60s後半はHANESPORTとタグを変更してスポーツ路線を模索したが

結果的にはそれもうまくいかなかった。

なので70s前後で市場からHANESスウェットは

ほぼ姿を消してしまったのではないでしょうか。

 

そこに割って大学生協への販売に加わってきたのがARTEX、SPRUCE。

そして、Sportswear by Callegiate(Collegiate Pacificeの前身)。

上の真ん中左のタグですが不良のスウェット姿。よく見るかと思います。

チャンピオンは生協への販売に加えて、特許をとったリバースウィーブにて

WILSON、RUSSELLが強かったアスリート系にも販売を拡大して勢力を拡大。

この特許付きのスウェットは当時は本当に競合には強かったと思います。

負けじとRUSSELLもサイズ表記のタグだけでなく

下のようなSPORTSWEAR PRODUCTSなど

その販路に応じた派生のブランドを立ち上げて、チャンピオンに対抗していく。

60sは各メーカーがしのぎを削っていて本当にすごい時代だったと思います。

 

しかし、価格競争が激化したおかげで生地の質は50sと比較すると

60s中期までには圧倒的に落ちてしまったといわざるを得ないです。

60sのスウェットはどのメーカーの生地も薄めになってしまいました。

 

では、なぜこの時代をチャンピオンは生き抜けたか。

価格破壊が起きても、リバースだけは他社との差別化ができていた。

なので60sでも質を落とさず販売できた。

この戦国時代を生きぬく上で最大の武器になったことでしょう。

そして、70sになってさらに安いメーカーがでてきても

質の高いまま販売ができたのではないでしょうか。

 

企業を永続させる上で重要なのは競合との差別化。

より他社より付加価値のある商品を展開していく。

これは現在でも不変で、本当に重要なんだと痛感させられます。

 

 

余談ですが

60s後半は消防法から100%cottonのスウェットの生産が禁止されました。

なので各メーカーはポリ混紡やアクリル混紡になります。

 

例えばRUSELLのものはこんな感じ。

そして、ファクトリー系OEMだとこんな感じ。

なので100%COTTONのスウェットは

少なくとも67、68年より前だと思ってもらっていいです。

 

今回はここまで。

70s以降は次回の後編にてお話しさせていただきます。