先日、大宰府に興味が出て、神奈川県から行く方法を探してみると、新幹線で新横浜から博多まで、飛行機で羽田から福岡まで、行く方法が有りますが、フェリーで横須賀から新門司まで行く方法を知りました。
航路を見てみると、三浦沖から大島脇から和歌山沖から四国南を通って高知過ぎから愛媛と大分の間を抜けて新門司まで行くようです。
面白そうなので、予約しようとしましたがふと心配に。
そう、正に南海トラフ上をひたすら走るのです。
過去1000年くらいの地震域をまとめてみるとこんな想定図に。
以前、高知の桂浜から室戸岬まで旅行した時、その深さを想像させる急激な海色変化を覚えていますが、海上ではどう見えるのか。
これは是非1度と、フェリーに乗ってみることにしました(4月の豊後水道地震の余震も怖いけど)。
夜の10時過ぎに、京急の横須賀中央駅から15分くらい歩いてフェリー乗り場に向かいます。
東京九州フェリー(それいゆ)
1時間前に受付をして、いよいよ出港。
横須賀港
三浦観音崎
ここを抜けると、いよいよ太平洋。
ベッドは弱いマッサージ機のようなエンジンの揺れと隣人たちのドア開閉音と足音はやや気になります。
真っ暗な甲板に出るのもなんなので、1時ごろに酒飲んで寝ました。
朝、和歌山沖で一度陸地に近づきます。
和歌山沖
ほぼ専用航路のよう。
邪魔する船はほぼ無く、300m大型船で波は苦にせず時速50kmで突っ走ります。
東京九州フェリー(ソレイユ)って、2021年のコロナ真っ盛りのころ始まったためか認知度は低い。
某遊園地のように東京を謳ってますが、神奈川県の横須賀が出入ターミナルです。
ソレイユ対面…往復便のすれ違い時には汽笛挨拶があります。
大きさと速さで言えば、
勝海舟が乗った咸臨丸は大きさ50mで時速10㎞。
戦艦大和が大きさ267mで時速50㎞。
このソレイユが大きさ300mで時速50㎞。
旅客船とはいえ、大型貨物車や自動車の移動がメインで、ついでに個人徒歩旅行客も乗せていく方針なのでしょうか、それでも施設はレストランや風呂など充実しています。
レストランはスマホ決済にはまだ対応していませんでしたが、キャッシュカードには何種類か対応。
映画やランニングマシーンの無料サービスもありました。
室戸岬…室戸岬自体は溶岩でゴツゴツした印象の記憶。
足摺岬…名前に由来はスーパーマン弘法大師でさえ、足を引きずって来た岬だからという説も有ります。
南海トラフ地震の津波
地震の時には、この海面下で地層がづれて跳ね返り、波が発生。
陸地に近づくと増える段差で波が隆起する。
波力を分散させる島や岬などが途中に無いので、多い海水量がそのまま押し寄せる、ってことか。
若い漁師だったジョン万次郎は嵐で遭難し漂流して当時無人島の父島あたりまで流されても数カ月生き延び、アメリカ漁船に救われてアメリカに行って帰国して幕末に活躍したんだよな。
スゲー男だ。
波も嵐も水も食料も、言葉も身分も乗り越えた男ってことか。
足摺岬から右折北上し周防灘へと入ると、漁船や島が増えどこかうれしくなります。
周防灘
佐多岬
こんなに細く長い半島って他に知らないし、海流で浸食されていないのが不思議。
風力発電機も何機も有ったし、事故も多いのか先っぽに灯台が有りました。難所なのでしょう。
この狭まる結果の激流で玄海灘や関アジや関サバが有名になったのか。
新門司港に21時過ぎの到着。
新門司港は街から離れていて、歩行旅客は専用バスで門司か小倉へ30-40分で22時頃の到着が可能。
もう一歩23時過ぎの博多宿を手配するか迷いましたが車で来てる人たちはどうしているのでしょうか。
初の21時間以上の大型船フェリー旅。
時速50kmなので風の影響は大きいですが、2mくらいまでの海波なら船酔いも全くしませんでした。
それでも多分大型車輸送が主な目的の航路なので、
個人客室の薄い壁や大きなドア開閉音では、日本人乗客の民度頼り。
まだ海外観光客は少ないですが今は日本人の民度も下がっているし、神経質な個人客の方は熟睡は無理でしょう。
併せて今回は晴れましたが、翌週には台風が近づきましたし強雨や強風での船便キャンセル方法や、新幹線や飛行機への急遽手配方法なども知っておく必要が有るかも。
今回の目的は、震源と予想される南海トラフがどんなものなのか。
印象は、近くに島も陸地も何もない広い海領域。海面からは4000mの深さは想像できませんでした。
でも太古の昔から深く潜り込む太平洋プレート地層にユーラシアプレートの端の大陸層が、
1000年で10回以上跳ね上がり返して来た震源現場の洋上体験。
実はこの日の朝、小笠原諸島の父島で震度4の地震が有ったのも、
携帯電波も届かないので全く知りませんでした。
何十億年も地球は内部から海上も地上も動き続けていて、
そこに僅か数百万年から数十万年前に生まれた類人猿から進化したちっぽけな人類が、
ここじゃダメだと新たな土地へ移動するぞと手漕ぎで果敢に海に挑戦しつづけ、
ここ数百年でようやく帆船から動力船で大陸を渡りつなげられたけれど、
浮かんでモノを運ぶ位にしかまだ利用できず、そのほとんどを利用解明できていないのが海。
その僅かな一端に触れられたような、初心者でも片道1回限りならお薦めの、貴重な21時間の海上旅体験でした。