ちょと前ですが、斉藤美奈子著『文壇アイドル論』(文春文庫)を読了しました。
2002年の刊行で、初出が岩波の『世界』であることからも想像できるよう、タイトルにもかかわらず内容はかなりの「硬派」です。扱われるのは村上春樹、俵万智、吉本ばなな、上野千鶴子、立花隆など、1980~90年代の文壇で「アイドル」として君臨した8人。彼ら自身の著作を分析すると同時に、彼らの評価・受容のされ方を通して、彼らが「アイドル」たりえた時代を論じている。
俵万智の広告コピーとの親和性、吉本ばななの「コバルト文庫」(中高生向け少女小説)との類似性、そして両者における女性の地位の驚くべき保守性・反動性。
左翼知識人としての上野千鶴子の陳腐さ、「知の巨人」立花隆のいかがわしさと凋落。
面白かったです。著者の斉藤美奈子さんについては、新しい視点から独創的な分析ができる、優れた批評家だと思っていましたが、この本を読んで改めて、そのように確信しました。
お薦めですね。