「欅坂46」、あるいは表現の自由について | ゴキゴキ殲滅作戦!

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さらに念のために言っておきますが、このブログはコックローチやゴキブリホイホイとは何の関係もありません。
本と映画と渋谷とフランスについての日記です。

つい最近のことだが、アイドルグループ「欅坂46」のメンバーが、ハロウィーンコンサートでナチス風の衣装をまとい、アメリカのユダヤ系団体からの抗議を受けて、所属レコード会社と秋元康さんが謝罪した。

 

この一連の経緯を見て感じたのは、世界にはびこる明確なダブルスタンダードの存在だ。

 

まず、現代の日本で、ヒットラーとナチスが一種の「絶対悪」であることは、常識ある国民の共通認識だと言っていい。

 

「欅坂」のメンバーがナチス風(「宇宙戦艦ヤマト」のガミラスを経由した?)の衣装を着用したことは、あくまでもハロウィーンの「仮装」であって、他の若者が、例えば「死神」や「悪魔」に仮装するのと、本質的にどこも違わない。

 

他方で、ユダヤ系人権団体の立場からすれば、そんな「ジョーク」が看過しがたいものであることも、十分に理解できる。

 

ソニーミュージックや秋元さんとしては、そもそも悪いことをしたなどとは全く思っていないだろうが、事を荒立てたくないという理由で、「取りあえず頭を下げておいた」ということなのだろう。

 

そう言う意味で言えば、この件に関しては、誰にも悪意は無かったし、誰も悪くないと思う。

 

私が気に掛かるのは、「表現の自由」という観点から「欅坂」を擁護しようとする声が、ほとんど無いことだ。

 

ご存知のように、フランスやその他ヨーロッパ諸国の週刊誌は、再三にわたってイスラム教徒やマホメットを揶揄する漫画を掲載し、物議を醸している。そのことで、昨年初頭パリではイスラム過激派のテロ事件も発生したし、それに対して「表現の自由」を掲げる大規模なデモも行われた。

 

しかし、イスラムを皮肉るのが「表現の自由」だと言うのなら、「欅坂」のナチスだって、「表現の自由」に属するはずだろう。

 

「欅坂」のナチスを「不謹慎」だと言うのなら、フランスの週刊誌のマホメットの似顔絵も、「不謹慎」だと言わなければならないだろう。

 

実際にそういう話にならないのは、結局、ユダヤ・キリスト教文化の国々が、この世界で「覇権(ヘゲモニー)」を握っているからだ。

 

イスラム教徒の方々には、心から、同情しますねw。