ついにこの日が来た。
私はただ観に行くだけなのに、ずっとそわそわしていた。
チケットを買ったその日から、いやもっと前、公演内容が発表されたその日からか。
大好きなビントレー氏の作品だけで構成されたトリプルビルなんて贅沢過ぎて、抱えきれない花束のようだ。
3作品のうち、スターダンサーズ・バレエ団に新しく振り付けられる『雪女』は世界初演で、『The Dance House』は日本初演で、その特別な出会いに興奮を隠しきれない。
初めて何かを観る時はいつもワクワクしていて、予習をするかしないかも重要で、たとえ再演が繰り返された作品でも自分にとっての初めては1回しかないから、観客としても生身でぶつかりたい。
どんなふうに見えるか、何を受け取るのか、作品と対峙するその瞬間をとても楽しみにしている。
しかも今回は「まだ【誰も】見たことがない」作品が含まれている。
公演初日、客席にはビントレー氏もいらっしゃった。
自分の好きな振付家の世界初演を敬愛するバレリーナの主演で、劇場で共にできる幸運が存在するんだ。
なんて瞬間だろう。
都合よく同時代であることはなかなかない。
ビントレー氏の振付作品を意識したのは2017年に当時日本初演の「Flowers of the Forest」を観た時からで、自分が興味を持っていることが第一義だとしても、それらはほとんど巡り合わせでしかない。
鑑賞から少し日が経って、その間もダンサーたちの残像と舞台風景の余韻が頭の中に浮かんでは消え、それらを言葉で捕まえようにもなかなか思うようにいかない。
あの日はまるごと夢だったんじゃないかとさえ感じる。
1記事にはとても収まりそうにないので、こまかいところは作品ごとに分けて書こうと思う。
どんなに書いても十分ではないけれど、ここは書くところなので、せめて文字にすることで留めておけたら。