スタダンのくるみ割り人形を観に行く、と告げると、あのクララが大活躍するやつ?とか、雪が変わってるやつ?とか訊かれる。



そうです、それです笑

大好き。

病みつき。

やっぱり冬になると会いたくなる人たち。





初日は1日2回公演で、1回目は11時開演と、なかなか早い。

冨岡玲美さんがクララで主演デビュー。

コールドでも目を引く踊りでずっと気になっていた方で、昨年のジゼルのパドシスではっきりと玲美さんの踊りが好きだと確信した。



くっきりと愛らしい笑顔と、小動物のような素早さが小気味よく、その動きの質感が好ましい。

きっとクララが似合うに違いない。





クララは1幕から2幕までエネルギッシュに駆け抜けて、見事な踊りっぷりだった。

私的いちばんのクライマックスは、雪が降ってくる前の王子とのパドドゥのところ。

泣くような場面ではないのに、そのド直球ぶりに震えて涙が出てきた。



玲美さんの踊りと、それから踊り以外の例えばただ走り寄るだけのような動作もたくさん見て、どんな要素を自分がこんなにも好ましく感じるのか考えていた。



キレがいい、という言葉で片付けてはいけない。

でも素早さは見える。

かと言って、音に対して早取りなわけでは決してない。

まだ言葉では答えがはっきりと出ないけれど、愛嬌があってはつらつとしていて、動きと心情の繋がりが途切れない。





そう、それで不思議なことに、いつもならたいてい押し寄せてくるあのコーダの多幸感がこの日は、なかった。

自分でも、あれっ?て思ったくらい。



誰の踊りも破綻していなかったのに(オケはところどころヨレていたけれど)、物語が意図しない力を持つためにあと何が必要だったんだろう。

携帯の着信音が鳴り響いたり、小さな子どもが泣いたり、わりと客席でいろいろあったとはいえ。



いずれにしても、新しいクララの誕生に感動したし、これはまた新しい物語に出会ったということかな。