恵比寿ガーデンシネマにて、映画『ダンシング・ベートーヴェン』を鑑賞。
ベジャールがベートーヴェンの第九交響曲に振り付けた壮大な作品。
1978年の上演を最後にベジャールによって封印され、ベジャール亡き後は再演は不可能とされていたらしい。
俯瞰で見た舞台のオレンジの円が、どうしてもバスケットボールに見えて仕方なかったけれど、それももう大丈夫。
あれはバラ窓。
円環と正方形は重要なモチーフ。
はじめて入った恵比寿ガーデンシネマは大人な空間で、こじんまりと落ち着いていて、静かに考えごとをするのにはぴったり。
映画はモーリス・ベジャール・バレエ団BBLの第九リハーサル風景が主。
ジル・ロマンの娘であるマリヤ・ロマンがインタビュアーとして時間を進めていく。
作品としての第九、そしてそれを体現するダンサーはすばらしかった。
ベートーヴェンの音楽が持つ力、ベジャールの振付が放つ輝き、ダンサーの生き様のどれもが鮮やかに胸に迫ってくる。
でも、映画としては切り取り方、見せ方にやや疑問。
素直過ぎるというか、稚拙というか、一周回ってあれにたどり着いたのかもしれないけれど、まあ。
観終わって外へ出たら、暮れかけの空の下、イルミネーションが映えている。
第九を小さく口ずさみながら歩く。
人類皆兄弟とか、歓喜とか、善と悪の同居とか、ベートーヴェンがこの曲に与えたテーマが浮かんでは消える。
マリヤ・ロマンがこちらを見据えておしえてくれた、ベジャールの言葉も。
L'espoir est toujours la victoire.