『うどん』

20歳の頃初めての一人暮しでテンションが上がり、お香を買ってみたり誰かわからないけど持ってたら『こいつ知ってる』感の出そうなインディーズバンドのCDを壁に飾ってみたりコルクボードに写真をコラージュみたいに貼ろうとしてみたり料理もできないのにオシャレなキッチン用品を買い揃えたりムダ使いをしていました。

これら全ての理由は童貞だからで片付くのですが話がそれるのでやめておきましょう。

ちなみにコルクボードは貼ったもののそれを埋める写真が足らず、何も貼らないまま壁にコルクボードだけが貼られた状態になっていました。突然来た友達にコルクボードを見られ『壁に穴空いてん』とついた嘘を今でもたまに思い出します。


話がそれました。


今日は『うどん』です。

結局キッチン用品を買い揃えたものの僕の毎日の食事はインスタントラーメン。
鍋で作って鍋のまま食べ食べ終わるとスープの残りをそのまま台所の流しに流す。 ほぼ毎食それでした。

部屋も時間が経つにつれ、オシャレな部屋に住みたいという気持ちがめんどくさいに押し潰されどんどん散らかっていき足の踏み場がなくなり、気が付けば流しにもラーメンの残り等が詰まり濁った水で排水口が見えなくなっていました。


さすがにまずい・・、僕は掃除することにしました。
部屋を片付けいらない物を捨てる、一度も使ってない泡立て機も捨てました。コルクボードも剥がしました。日焼けで壁の色が変わってました。
お米を炊いて半年間開けなかった炊飯器も開けました。ナウシカの森のようでした。

そしてキッチンの流しの詰まりも解消すべく長い箸で水の中を探り詰まったラーメンの残りをすくい上げ捨てていくと徐々に水が流れていきます。
すると流しの隅に明らかにラーメンの細さではない一本やけに太めの麺が落ちています。流れる水の中に目を凝らし僕は思い返しました。うどんなんて食べたかな・・。



『うどんのように太いミミズでした』


どこからわいてでたのかはわかりませんが実際はうどんよりも太かったのです。

後悔しました。まさかこんな事になってたとは・・。

キッチンの上の窓から捨てようとしますがうまく掴めません。
そしてそれは捕まれまいと逃げて排水口に落ちてしまいました。

排水口にはクズ切りカゴ?のようなものがありますよね?野菜クズとかがそのまま排水口に流れないようにする為のあれです。

持ち上げるとミミズの少し太くなった首の部分だけが引っ掛かり体はダランと下に垂れ下がっていました。
キッチンの小窓からそいつの垂れ下がったクズカゴだけを出しそいつを外に叩き落とすべく家の外壁にカゴを叩きつけます。


『ドン!』

『ドン!!』

『ドン!!!』


なかなか落ちません。それどころか衝撃を与える度に

『グン!』

『グン!!』

『グン!!!』


ミミズの体が伸びていきます。


最終的には僕の肩より少し下くらい150cmくらいになっていました。

そしてストンと落ちるというより伸びた体を地面に着地させ降りるように外の世界へと消えていきました・・。



皆さん、掃除はしましょう。