『居候』

去年の1月の終わりに大阪から上京しまして、以前から仲良くして頂いてる『ざっくばらん』の小介さんのお宅に3ヶ月ほど居候させて頂きました。
上京したものの4、5万円程度しか持っておらず部屋も借りるに借りれなかったのです。

小介さんの部屋は1K。
六畳の和室に小介さんは布団を敷いて眠り、僕はその横のこたつで座椅子を倒し眠らせて頂きました。

六畳の和室に3ヶ月も居候し『早く出ていけ』的な空気も皆無。僕が感じなかったわけではなく皆無。
しかもご飯もいつも奢って下さる。
屁をこいても「オイ!」と一瞥するだけ。臭かったら「臭ぇよ!」と笑っています。

どうしてそんなに優しいのか不思議でなりません。

僕がもし逆の立場で部屋に後輩が転がり込んで来たらその後輩の持ち物すべてに『片山』と書き、全ての持ち物の所有権は部屋の主である私にあると主張し片山と書いたサイフで飯を奢ろうと提案するでしょう。

しかし小介さんは僕に一切何も求めませんでした。金も体も一切です。
いつも笑顔で「飯行こうか?」と誘ってくれます。


感謝しかありません。

このご恩は必ずお返しします。
ありがとうございます。




ただ一度だけ気になる事がありました。

バイト明けで疲れて眠っている小介さんの横で静かにPSPでモンハンをして遊んでいると、ぽつりと小介さんが寝言を発せられました。


「ん~・・こそくな奴め」

誰に向けられた言葉かはわかりません。誰にも向けられてないのかもしれません。でももしかしたら・・。
とりあえずクエストをリタイアし携帯でバイトを探す。壁にかけられたカレンダーのお雛様が険しい顔で僕を見つめていました。