『無邪気』幼い子供によく使われる言葉です。
『邪な気持ちが無い』と書きます。
しかしこの漢字、本当にこれでいいのか?と疑問に思います。僕はそれより『無邪鬼』の方がいいような気がします。

去年のM-1敗者復活戦、松竹芸能から出場したのはなすなかにしさんと僕ら、そして小学生漫才コンビまえだまえだの3組でした。
長い待ち時間、大勢の大人の中で退屈そうにしているまえだまえだと一人でゲームをして時間を潰していたナチュラル ボーン 社交性がない の僕は偶然というよりむしろ必然で一緒に遊び仲良くなりました。
僕はまえだまえだから「ゆうちゃん!」と呼ばれ慕われました。その時、小学校の先生になりたいと思ったのは言うまでもありません。
舞台上でサンドウィッチマンさんの名前が呼ばれ、サンドウィッチマンさん以外の出演者は野外ステージから楽屋へと戻ります。目当ての芸人さんの写真を撮ろうとお客さんもひしめきあっています。
まえだまえだが一緒に帰ろうと僕を真ん中にして僕の両手を握ってきました。

振り払いました。

だってまえだまえだは小学生漫才師、僕はたまに30歳くらいに間違われる27のごく普通の売れない漫才師、真ん中に立ったらマネージャーにしか見えません。まえだまえだが写真撮られてる間、後ろでセカンドバッグ持って時計気にするなんて心がささくれる。
また両手を掴まれました。
僕が振り払うのを遊びと勘違いしてるようです。
何度も捕まり観念した僕は楽屋へと続く地獄の一本道をまえだまえだに挟まれ進む決意をしました。新人マネージャーの初仕事です。「ヒカリゴケ?・・あぁ、昔ちょっとやってたよ。親父ラーメン一丁!」