どうして林信吾は、こんなにも素晴らしい本ばかり書くのだろう。


……木曜日は大体、こんなことを書いているのだが、この先大丈夫かな、などと思える今日この頃だ。

特定秘密保護法案に続いて、いわゆる児童ポルノ規制法案が上程され、今国会で成立の見通し、というからね。


俺自身は児童ポルノなんか基本的に興味ないし、そっち系の作品を書くつもりもない。

ただ、だからと言って無関心ではいられない、と言うか、無関心でいてはいけないので。


今回上程される法案は、児童(18歳未満)のワイセツ画像とかを、販売目的でない「単純所持」でも罰することができるようにするもの。

これのなにが問題なのかと言うと、なにをもってワイセツと定義するのか、といった議論をすっ飛ばして、公権力が児童ポルノと見なしたものは、すべて規制の対象にし得る、ということ。


これがまったく笑い事でないというのは、英国で、孫が水浴びをしている写真をPCに保存していた男性が、そのPCを修理に出したところ、

「児童ポルノ画像が保存されてる」

ということで、警察に通報された事例があってね。


乳幼児の頃の写真なんて、裸で写ってるものが珍しくないし、日本でも、たとえば結婚式で、新郎新婦の半生、みたいなスライドを上映することがあるじゃない。

あれは大丈夫なのか、って話なんだよ。


もちろん、現実問題として、警察がそこまで規制に乗り出すとは考えにくいが、法律の趣旨から言って、そういうことが可能である以上、油断はならない。

てか、こんな法案、本気で通す気か?


栃木県の今市市(現在は合併して日光市)で、8年前、当時小学1年生だった女の子が殺害され、32歳の男が逮捕されたが、こいつが幼い女の子の写真を、大量に所持してたとか。


今のところ、だから児童ポルノは規制しなきゃ駄目だ、みたいな論調はあまり見られないけど、マスコミの場合、自社が発行してるコミックなんかに影響するのを警戒してるからね。げんに複数の出版社が、この法案に反対や危惧を表明している。

そういうことではなくて、女の子の水着や裸の写真を見て喜ぶのと、無理矢理に服を脱がす行為は、まったく性質が違うのだ、ということを、堂々と主張しなきゃ駄目だよ。


ロリコンの商品化には、ある程度の規制がなされても仕方ない面はある、と俺は思うのだけど、それとて、AKB商法について書いたように、


買わない自由だってちゃんとある


という前提で議論がなされなければならない。

さっき英国の実例を出したけど、児童ポルノに関して、日本よりずっとシビアな英米で、性犯罪は日本より何倍も多く起きている、ということも、忘れちゃいかん。


要するに、安倍ネトウヨ政権が、なにがしたいのかと言うと、


国家権力が、マスコミも個人も監視する社会


を実現したいんだよ。

そういう社会で暮らしたくないのであれば、今次の児童ポルノ規制法案の行方は、厳しい目で見つめないといけない。