年末の大仕事は
12月25日 神戸映画資料館
『イントレランス』 D・W・グリフィス監督の活弁・生演奏上映でした。
生演奏は【塩屋楽団 稲田誠さん(contrabass)、カメイナホコさん(keyboard/clarinet)、楯川陽二郎さん(drums)、柳瀬瑛美さん(euphonium)】
上映後のレクチャーは、堀潤之先生 (映画研究/関西大学文学部教授)
今回は、神戸映画資料館所蔵フィルムを16コマ上映。
196分という大作です。
はやくからとりかかろうと思いつつ、秋はありがたい事に公演もたくさんあり
なかなかかかれず・・・
サイレント映画はフィルムによってバージョンが違ったり、速度が違うこともあり
他の作品を見たりしながら、まずはシーンと字幕の照合を。
本編が3時間あるので、予想以上にこの作業に時間がかかってしまいました。
さらにそこから、字幕は書き言葉であったり、直訳で理解が難しい事もあるので
訳し直したり、前後の話に合わせて活弁のセリフへと変えていきます。
更にはこの作品は、四つの物語が並行して進んでいくため
それぞれの時代の史実など歴史の調査。
通常の作品だと、ひとつの時代だけなのでその時代だけ調べればいいのですが
今回は四つ分あり、これまた調査に時間がかかり
刻一刻と、まるでこの作品のラストのように(大げさ)
せまりくる舞台の幕(梅沢富美男さんの「夢芝居」のよう~♪稽古不足を幕は待たない~)
ひさしぶりの徹夜(できたことにちょっと感激)
いよいよ今回もうダメかもと崖っぷちながらも
当日の朝まで直しながら、なんとか間に合いました。
(というかはやくから準備しとけばよかっただけなんだけど。)
楽団のみなさんとご一緒ということで楽器も多いですし
時間も長尺、情報も多いので、活弁の台本自体は極力余計なセリフを減らしシンプルにしました。
いつもよくご一緒している鳥飼りょうさん、天宮遥さんのピアノ演奏の素晴らしさは
ここで言うまでもなく、私にとってかかせぬ音色です。
今回、塩屋楽団のみなさんとは初共演。
私の活弁がうまく合うかなぁ。どうなるかなぁとちょっぴり不安もあったのですが
前日のリハーサルでそんな心配は吹っ飛び、ワクワクに変わりました。
稲田さんの作曲したいくつかの曲(テーマ曲が素晴らしかった)と、即興を組み合わせていく形で
それぞれの楽器がソロになったり、二重奏になったり
ラストは、四つの物語が重なっていくのに合わせて
それぞれ四人の音色がひとつに重なり、メロディを奏でていくのが心地よく
その合間を縫って音の波に乗ってセリフを重ねてゆくのが、まさにライブで本当に楽しかったです。
私は稲田さんから「ボーカルの大森さんが・・・」と呼ばれ 笑
これもまたまさにバンドに一員になったみたいで、すごく嬉しくて。
この日の心は弁士ではなくボーカルでした。
お客さまからもお褒めの言葉もたくさん頂き、ありがとうございました。
手前味噌ですが、この作品は歴史も絡み、話も行ったり来たりで複雑なところもあるので
弁士つきでご覧になるのはおすすめです。(もちろん好みによりますが)
今回は、特急仕上げとなりましたので
また機会があれば、もう少し丁寧に精査し、深く掘り下げて挑みたいと思います。
がんばって台本書いたので、再演がありますように!
本編の後は、堀潤之先生のレクチャーが。
私が知らなかった「運命の三女神」の話や、どんな風に映画「カリビア」を参考にしていたのか
バビロンの撮影は櫓のようなところから撮影をしていたお話等・・・
時間が短くて残念。まだまだ続きを聞きたかったです。
トーク後に、個人的に「孤独な女」についての背景も聞けてよかったです。
そして、なによりも
このプログラムを企画して下さったいいをじゅんこさん
神戸映画資料館の田中さん、安井館長 こんな機会を頂き、ありがとうございました。
往生際の悪い私の背中をぐいぐい押して頂いたおかげで
2021年のラストに、大作への挑戦をすることができました。
(自分じゃ絶対に選ばない作品です。笑)
いいをさんにはギリギリに「これわかりません。あれ訳して下さい。」と注文し
台本が間に合うのかと直前までご心配をおかけし申し訳なかったです。
そして、このプログラムは来年2022年クラシックコメディ映画祭にて
こちらも三つの物語が交錯する「キートンの恋愛三代記」と連動企画です。
1月10日 旧グッゲンハイム邸にて 坂本頼光弁士がクラコメ初登場!
みなさま、ぜひ~。
久しぶりに書いたら・・・長文!
ご拝読ありがとうございました。