100円ショップって

 

会社によって品揃えが違っていて

 

 

「あのお店じゃないと手に入らない」

 

っていうものがけっこうある。

 

 

 

 

 

それで

 

少し遠くのお店じゃないと手に入らないものは

 

ふだんからメモして書きためておいて

 

 

 

ひと月に1回くらい

 

まとめて買い出しに行くことにしている。

 

 

 

 

昨日はその買い出しの日だった。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

メモを見ながら買い物カゴに

商品を入れていって

 

 

 

 

1個でいいやと思っていたものも

 

「消耗品だしもう1個買っとこう」

なんて思いながら売り場を回っていたら

 

 

けっこうな量になった。

 

 

 

 

 

 

 

セルフレジに並んで

 

 

混んでいたので早くしなきゃと思いながら

 

手がとまらないようにせっせと商品をスキャンして

 

 

無事にお会計を済ませて

 

ほっとして帰路についた。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

家に帰って

 

シールをはがしたり

タグを取ったりの作業をしているとき

 

「あれ?」って思った。

 

 

 

1枚に見えた白いタオルが

 

よく見ると2枚重なってる。

 

 

 

 

 

ああそうだそうだ

 

1枚買いに行くつもりで

「やっぱりもう1枚」と思って追加したやつだ。

 

2枚で間違ってなかった。

 

ああよかった。

 

 

 

 

 

 

 

でも待てよ。

 

 

とレジでの記憶をたどってみる。

 

 

 

タオルを手に取ったとき

 

「ピッ」て1回しかスキャンしてない気がする。

 

 

たぶん重なってるのに気がつかなくて。

 

慌てていたしよく見てもいなかった。

 

 

 

 

 

 

それで急いでレシートを見て確認してみると…

 

 

 

やっぱり1個分しか印字されていない。

 

 

 

「ああやってしまった…!」

 

 

 

1枚分まだお金を払ってないことだ。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

近所のお店だったらすぐに行って

 

払ってくるんだけど

 

 

 

ちょっと遠いところだしなあ。

 

 

 

 

カレンダーを見て

 

"今月はこの日に行こう"っていう日を決めて

わざわざ出かけて行くようなところだ。

 

 

 

暗い気持ちになる。

 

 

 

 

 

 

 

そしてふと思い出したことは…

 

 

 

 

 

半年くらい前に

 

いつも行くスーパーで

 

1個しか買ってないものを

2個分レジで打たれていて

 

 

「ああ損した〜!」って思ったことがあった。

 

 

 

 

もう家に帰ってきてしまったので

証拠もないし

 

どうすることもできなくて

しばらく悲しい気持ちを引きずっていた。

 

 

 

 

 

 

 

私はいつも買い物するときは

 

電卓で合計金額を出しながら

予算を超えないように慎重に買うので

 

 

 

チャージ残高の中に

おさまる金額だったはずなのに

 

 

 

なぜかちょっとだけオーバーしていて

 

「えっ!?」

 

と思いつつ

 

 

 

 

不足した分を慌てて払いながら

 

 

「自分の計算がどこかで間違えたんだろうな」

 

と謙虚に納得して家に帰った。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

それで一応念のために

 

 

レシートを見ながら

買ったものを並べて行ったら

 

 

やっぱり1個分余分にお会計されている。

 

 

 

「ええ〜〜〜〜〜!!!」

 

 

やっぱり自分の計算で合ってたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「これからはおかしいと思ったときは

 

その場で確認するようにしよう

 

いい勉強になった」

 

 

ということで落ち着いた。

 

 

 

 

 

 

 

…ということがあった。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

あんなことがあったんだし

 

 

 

これはあのときの分で

 

帳消しってことでいいんじゃないか?

 

 

 

 

 

もしそれで気が済まなければ

 

この110円を

 

どこかに寄付してきたらどうだろう?

 

 

 

コンビニのレジ前でよく見かけた募金箱

 

あれって今でもあるんだろうか。

 

 

 

 

現金を使う人が減ったから

 

もう置いてないのかな。

 

 

 

 

 

とりあえず

 

 

「寄付する」って書いたメモ用紙に

 

110円をくるんで

 

 

お財布の中の小銭入れに入れておいた。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

そして夜。

 

 

寝るときに布団の中で

 

いろんな思いがめぐる。

 

 

 

 

 

昔けっこうな値段のする家電を買ったとき

 

無理にまけてもらったことがあったな。

 

 

 

でも結局あとから故障やら何やらで

 

そのまけてもらった金額と同じくらい

 

修理代を払うことになった。

 

 

 

人生はどこかで帳尻が合うように

できてるんじゃないかって

 

あのとき思ったな。

 

 

 

 

今回のこの110円を

 

どこかに寄付したとすると

 

 

 

それで今回の分は

 

プラスマイナスゼロになるんだろうか。

 

 

 

どこに払うにしても

 

たとえ自分はプラスマイナスゼロになったとしても

 

 

あのお店の会社から見たら

 

損してるってことだしな。

 

 

 

 

 

 

いやいやそれ以前に

 

お金を払わないでお店のものを持ってきたら

 

おまわりさんに怒られるよな。

 

 

 

 

 

あれこれ考えすぎてもう疲れてきて

 

 

こんなに重たい気持ちになるくらいなら

 

ちょっとぐらい遠くても

 

明日行ってお金払ってこよう

 

 

って思って

 

眠りについた。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

そして今日の朝

 

いさましい気持ちで起きて

 

 

ドキドキしながらお店に行ってきた。

 

 

 

昨日のセルフレジのところに行ったら

 

店員さんがいたので

 

事情を説明したら

 

 

 

 

「あらあらわざわざすみませんねえ…」

 

と優しく接してくれて

 

 

「そのまま普通にお会計してもらえれば

大丈夫ですよ」

 

と言われたので

 

 

 

 

例の"寄付する"と書いた紙から

110円を出して

 

チャリンと機械に入金した。

 

 

 

無事にレシートが出てきて

 

 

「ああよかった」

 

 

と思った。

 

 

 

    ☆彡

 

 

 

外に出たら

 

晴れたきれいな青空が目に入って

 

 

この世のすべてがすばらしく思えた。

 

 

 

 

昨日のあの重たい気持ちから開放されて

 

 

「来て本当によかった。

 

もし今日来なかったら

 

お店に来るたびに思い出しただろう。

 

 

 

日常生活のふとしたときに頭をよぎって

 

暗い気持ちになっただろう」

 

 

と思った。

 

 

 

 

 

 

自分に正直に生きよう

 

 

と思った瞬間だった。

 

 

 

 

 

正直というのは

 

 

ただ単に嘘をつかない

 

ということではなくて

 

 

 

 

 

自分が心でこうしたいと思っていることに

 

できるだけ忠実に

 

という意味で。

 

 

 

そのときは面倒だと思っても

 

あとあとのことを考えたら。

 

 

 

 

 

 

ああこれで

 

今日も晩ごはんがおいしく食べられる。

 

 

今日はハンバーグだ。