◼️5月5日■富良野■ル・ゴロワ フラノ■ 
富良野市中御料
0167―22―1123

今回の旅行で、こちらの食事が一番の楽しみとなっていた。

2月に飛行機とホテルの予約ができたら、
すぐにこちらの予約をした。

そうして当日を迎え、ふらのバスで
新富良野プリンスホテルに向かった。

バスの時刻の都合で予約の時間を少し過ぎて
お店に行ったが、スタッフさんたちは
温かく迎えてくれた。

予約は混んでいると聞いていたが一番乗りで、
自分に少し遅れて他の予約客も登場した。



案内されたテーブルからは、芽吹いたばかりの
緑の草に牧場を模した柵と松ぼっくりのオブジェ。

座るとすぐにミントの香りの冷たいおしぼりが供された。

顔に当ててミントの香りを楽しんでいるうちに、
冊子のメニューが用意された。


こちらのお店では、完全予約制のコースメニュー。

チョイスする部分が多く、
選択肢はいずれも魅力的で迷うところ。

それでも丁寧な説明を聴いてゆっくり考える
時間も与えられ、この時間も楽しく流れていく。


高級感あふれるお店の雰囲気だが、
ドリンクを頼まなくてもいい様子。

良心的なことに好感がより増したところだが、
せっかくなのでスプマンテをお願いした。



庭を眺めながらグラスを傾けていると、
焼きたてのパンが供された。


蕎麦粉を使ったパンとのことで、
アレルギーの有無も訊かれた。

皮は香ばしくパリパリで、確かに蕎麦の香りもする。

味見の域で自分を制していると、スープが供された。


登場とともに、 目を奪われる鮮やかで濃い緑。

アスパラガスのヴィシソワーズ  コンソメのジュレ。

目で見ただけで、美味しいとわかる。


一口一口を掬って口にすると、やはり濃厚な冷製スープ。

芽吹いたばかりのアスパラの若さと生命力、
これ以上手を加える必要のない上品な旨味。

口にする度に、これらを楽しめた。

なお温かいポタージュスープは、
ごぼうのスープと聞いた。

そちらも、美味しいにちがいない。


続いてのお皿の料理は、
春の取り合わせ前菜 と 朝堀グリーンアスパラガス。

後で思い返すと、この料理が一番感動した。


よく見ると一種類ずつの食材がそれぞれに
適した調理がされ、綺麗なお皿に盛られている。

華道にも通じた美しさで、
食べてなくなるのがもったいなく、
食事の時間も終わってしまう
ことも惜しく思われる。


一口一口の食材と対話するように、ゆっくり食べる。

タマネギ・セロリ・袋タケ・ブロッコリー・
ニンジン・スナップエンドウ・トレビス…

フリルレタスの下からはクレソンが二本、
ホワイトアスパラ、カプレーゼまである。

それぞれに異なるソースが垂らしてあり、
驚きつつ、食べすすめた。


カキフライあるいはホタテが付くというので、
今や高級食材のホタテをお願いした。

思ったよりも肉厚で甘味のある大きな貝柱で、
半分ずつをよく味わって賞味した。


大きなグリーンアスパラに目が行くが、
その下には、素揚げしたラディッシュ、
赤いビーツ、白いカブ、インゲン、
ローストした鴨肉など。

どの料理も美味しく、彼方に儚く去って行った。


野菜のお皿がカラになると、魚料理が供された。

桜マスのムニエル。



この他のチョイスは、本日のパスタ。

行者にんにくのペペロンチーノ、
二種類のチーズのパスタ、
もう一種類はきちんと伺ったが失念した。


丁寧に火が通された桜マス。

ふっくらして柔らかく、口の中でほどけた。

茶色の網目は、じゃがいもを千切りにして焼いたもの。

緑の葉物は、ケールと聞いた。

青汁の原料の葉だが、美味しくいただいた。


メインディッシュは、
白糠 えぞ鹿の薪火焼き。

他のチョイスは、
江別とんでんファーム”えべ豚”薪火焼き
標茶”星空の黒牛”薪火焼き(+1000円)


こちらも絶妙に火が通されており、
カリっとした歯ざわりながら身はジューシー。

ワインベースのソースがよく合っている。

スプマンテは飲み終えたので、

お肉にあわせて赤ワインをいただく。


イタリア産と富良野産があり、

当地の”ひぐまの晩酌”をお願いした。



野性味も感じる鹿肉には、よく合ったワイン。

繊細さもあるが、お肉に負けていない。

交互に賞味すると、永遠に続けられそう。


赤いワインを嗜みながら、
お皿に残ったソースもパンとともに、
残さず美味しく楽しめた。


デザートも日替わりらしく、手書きのメニューが渡された。

どれも魅力的で、こちらのお店らしく凝ったものと判る。

迷っているとマダムが来るので、
細かいところも説明してもらい決めた。


温かいブルーベリー ハスカップの
クラフティと牛乳のアイスクリーム。

マダムから説明のあった通りで、
焼いたクラフティの皿に
アイスクリームが別に添えてある。


アイスクリームを載せて召し上がるようにとの
案内に従って、合体させた。

アイスクリームはゆっくり溶けて、
紫色の果実がちりばめてある
焼きプリン状態の生地と一体となってくる。

ハスカップの実は刻んであるようで、

ブルーベリーとは見分けられないが、

ハスカップの酸味とブルーベリーの甘さとが

いい感じにバランスを取っているのだろう。



食後の飲み物は、ホットのブレンドをいただいた。

砂糖の壺にはブラウンの角砂糖があり、
コーヒーに加えずに、口に溶かした。

こうして至福の時は終わってしまい、
マダムやシェフとも会話を楽しんで
富良野を後にした。