この話は全てフィクションです。
私が入っているグルッポ『意味がわかると怖い話』に投稿した作品を、保存のためにブログにUPしてます。
登場する人物、建物、出来事等は、全て(でもないけど)空想上のものであり、現実には存在しません。多分。
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ボクはパパの部屋のドアをノックした。
「入りなさい。」パパの低くて響く声が中から返ってきた。
ボクがドアを開けると、パパはいつものようにベッドの上で本を読んでいた。
パパは心臓の病気で、随分前からベッドで臥せっているんだ。
「どうかしたのかい?」パパがボクに聞いてきた。
「パパ、今日は父の日でしょう?
でもボク、ずっと考えていたんだけど、パパに何をあげたら喜んで貰えるか分からなかったんだ。
だから、これ…」
ボクは自分のおこずかいで買った、1輪の黄色いバラの花をパパに差し出した。
「ユウキ、ありがとう。
でもパパの一番の喜びは、ユウキが健康でいてくれる事なんだよ。」
パパはバラの花を受け取りながらニッコリと笑ってくれた。
ボクも嬉しくなって笑いながら
「パパ、早く病気が治って元気になってね!!」と言った。
「あぁ、勿論だとも。だからユウキも早く健康で大きくなってくれよ。」
パパはボクの頭の先を眺めながらそう言った。
この話は全てフィクションです。
私が入っているグルッポ『意味がわかると怖い話』に投稿した作品を、保存のためにブログにUPしてます。
登場する人物、建物、出来事等は、全て(でもないけど)空想上のものであり、現実には存在しません。多分。
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「パパ~。父の日おめでとう~♡」
私は父の部屋を訪ねた。
父は目を見開いて驚いて私を見た。
「今日はね、父の日のプレゼント持って来たんだよ♪
ジムにも通うくらい身体を動かすのが大好きなパパに、○イキのスポーツシューズ!
それに銀座吉報の懐石チケット!
すき焼きのお肉が三枚だけなのに3万円もするんだよ?
あら?ペア券だって…。
どうする?ママでも誘う~?
それから、パパの大~好きな葉巻と、年代物の高級ウイスキー!
どう?スゴいでしょう?!
ねぇパパ聞かせて?
今どんな気持ち?」
父は涙を堪えているような顔になった。
「ウフフ。嬉しい?
私も最高に嬉しいわ!
だって今まで虫けらのように私を虐げてきたパパに、こんな仕打ちが出来る日が来たんですもの!!
ウフフ…
ふはははっ!
あはははははははははははっ!!」
父は我が家の暴君だった。
いつも不機嫌な顔をして、ちょっとしたことでキレて家族を怒鳴り付け、ママを殴って泣かせていた。
私たち子供は、いつも父の機嫌を損ねないように脅えて暮らしていた。
何をするにも父の顔色を伺い、勝手な行動をすると壁に激突するほど殴られたが、ママは自分に被害が及ぶのを恐れてかばってはくれなかった。
私はその中でも一番要領が悪く、成績も悪かったので、まるでサンドバッグのように日常的に殴られ「家の恥」と罵られた。
私は高校を卒業すると、寮付きの職場を探して逃げるように家を出た。
普通の事務職だったが、エリートな兄弟と比べたら「人に話せない恥かしい仕事」らしく、父からは勘当されたがそんな事はどうでも良かった。
とにかく家から出たかったのだ。
やっと父からの呪縛から逃れて、自由を満喫していた矢先
ママから1本の電話が掛かってきた。
パパが騙されて膨大な借金を抱え、しかも末期の癌で倒れここ2~3日が峠だと言うのだ。
ママはサッサと身の回りの物をまとめると、離婚届けを叩きつけて家を出てきたらしい。
「一応父親だからあんたにも連絡したけど、私もお兄ちゃんたちも病院には行かないからあんたも行かなくていいからね!」
ママはそれだけ言うと電話を切った。
『ザマァみろ!』私は思った。
顔の口角が自然と上がり、自分が笑っている事に気付いた。
今まで散々威張り散らして傍若無人にしてきた罰が当たったんだと思った。
哀れみや可哀想なんて感情はひと欠片も湧いてこなかった。
その時、私の心に邪なアイデアが思い付いた。
誰からも見放され、一人孤独に死んでいく惨めな父を嘲笑ってやりたくなったのだ。
「パパは罰が当たったのよ!
散々私たちに酷い仕打ちをしてきて、ママを毎日泣かせてきた報いを受けたんだわ!
最後は無一文で家族からも見放されて死ぬなんて、最高にいい死に様ね!
本当にいい気味!ザマァみろだわ!!」
私は勝ち誇った顔で父の顔を眺めた
どんな顔をするかしら
顔を真っ赤にして怒り狂うかしら
でも、もしもそれが原因で死んだって全然構わない
私は固唾を飲んで父の反応を待った
父の唇が震えながら動いた
「……それでも…
来てくれて……、ありがとぅ…。」
父は深く息をはき
静かに目を閉じた。
「何よそれ…
なんなのよ…」
唐突に、父のベッドの横の心電図がピーーッと鳴った。
父の頬を、涙が伝って落ちた。
「なんで…なんでそんな事…
なんでそんな事、今ごろになって言うのよ……っ!!」
私は床に膝を着くと
両手で顔を覆って泣いた。