この話は全てフィクションです。
私が入っているグルッポ『意味がわかると怖い話』に投稿した作品を、保存のためにブログにUPしてます。
登場する人物、建物、出来事等は、全て(でもないけど)空想上のものであり、現実には存在しません。多分。
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俺の住んでるアパートの部屋に、急に女の幽霊が表れるようになった。
いつも決まって夜の11時過ぎに、ガリゴリに痩せた女がドアも開けずにスーッと入ってくると、俺の目の前を横切りまっすぐ押し入れの中に消えて行った。
それが何日も続いた。
押し入れに何かあるのかと思ったが、開けて確認しても自分の荷物や布団が入っているだけで、特に変わった物は入ってない。
始めこそビビったが、どうしていいか分からないし、特に害もないようなので気にしない事にした。
ある日友達のMが遊びに来ることになった。
Mとはよく行く呑み屋で意気投合して、最近仲良くなった友達なのでこの部屋へ来るのは初めてだ。
幽霊のことは話そうか迷ったが、霊感が無ければ見えないっていうし、だったらわざわざ怖がらせる必要も無いだろうと思い黙っといた。
Mは幸いな事に霊感はないようだったが、「何か変な臭いがする」と言う。
そういえば、自分も引っ越したばかりの頃はちょっと気になる臭いがしてた事を思い出した。
でもそのうち気にならなくなったので
「他人の家の臭いってやつじゃね?」と笑い飛ばした。
一緒に呑みながら話をしていると、Mがやたら押し入れを気にする。
どうしたのかたずねると
「押し入れから何か音がする」という。
俺には何も聞こえない。
「気のせいじゃないのか?」
「いや、絶対聞こえる。隣の部屋じゃない。この部屋の押し入れからだ」
「ネズミか?」
押し入れはこの前確認したから、ネズミなど居ないのは分かりきっていたが、一応一緒に確認してみた。
やはり特に変わった所はない。
布団も荷物も全部だしたが何もない。
音もしない。
だが友達はやはり「押し入れから音がする」という。
音のする辺りをよく見ると、一ヶ所だけ床板を取り替えたようで、他の板よりたくさん釘が打ち付けてあった。
「どうする?」俺が聞くと「釘抜きあるか?」とMは言ってきた。
どうやらMは何としてでも音の原因を確かめたいらしい。
俺は観念して釘抜きの付いた金槌を工具箱から取って来てMに渡した。
ベニヤ板を割らないように、丁寧にゆっくりと剥がす
ベキッギギギ…
嫌な音を立てながら板が剥がれる。
そこには何も
………あった。
埃まみれの発泡スチロールの箱が、ガムテープでグルグル巻きにされて置いてあった。
大きさはちょうど、スーパーの鮮魚売り場でよく見かける感じだ。
「なんだこれ…おい、開けてみるか?」
俺はMに聞いてみた。
すると、あれほど原因を確かめたかっていたMが
「いや、止めた方がいい。警察に電話しよう」と言った。
来てくれた警察は、『こんな事でイチイチを呼ぶな』と言わんばかりに面倒くさそうにしていたが
開けて貰うと発泡スチロールの中には嬰児の白骨化した遺体が入っていた。
その後は大騒ぎだった。
大家さんには「こういう時には先に連絡をよこせ」と叱られ、警察には俺が犯人かと疑われたが、死亡時期が明らかに俺の引っ越し前だったので疑いはすぐ晴れた。
マスコミも二社くらいきていた。
警察の調べでは、遺体を隠したのは俺の前にこの部屋に住んでいた水商売の女性らしく、行方を探し当てたが、その女性は病気ですでに亡くなっていたという事だった。
なんとなく亡くなった時期を聞いてみたら、やっぱり、ちょうどこの部屋に幽霊がでるようになった頃だった。
俺は騒ぎが落ち着くと別のアパートを探して引っ越し
Mともそれきり疎遠になってしまった。
【解説】
子供の父親はM。
子供を殺したのもM。
Mは霊感など無く、音も聞こえてなかった。
子供の遺体を、自分は関係ない立場で処分したかった。