「結婚の壁」年収500万円、出産は600万円 年収に関係なく「子を持ちたくない」5.5人に1人 | かなこの「恋はときどき」

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 年収が500万円ないと結婚しようと思えない子を持つには年収600万円は必要――SMBCコンシューマーファイナンスがこのほど発表した「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」でこんな結果が出た。だが一方で、日本人の平均給与非正規雇用では年収174万円に過ぎず、正規雇用でも494万円しかない(2017年、国税庁調べ)。非正規雇用同士では出産はおろか、結婚すらしようと思えないわけで、最近の経済状況が結婚出産に与えている影響が垣間見える結果になった。

 

 SMBCコンシューマーファイナンスが201917日~9日、インターネットで30歳~49歳の男女を対象に調査した。ライフイベントとお金の関係として、「結婚をしようと思えるには」「出産・子育てをしようと思えるには」、それぞれ「世帯年収はいくら必要か」を聞いた。

 

 その結果、結婚については、「年収がいくら低くても」しようと思える“絶対結婚主義者”は14.7%いた。7人に1人が、「愛にお金は関係ない、お金があろうとなかろうと、結婚はしたかったらする」と思える人々だ。逆に「年収がいくら多くても、結婚はしたくない」と考える人も15.7%と、6人に1人いた。「お金があろうとなかろうと、結婚はしたくないからしない」と考える“絶対独身主義者”だ。こちらも逆の意味で「愛にお金は関係ない」と考えていると言える。

 

 だが一般的にはやはり、お金によってライフイベントは左右されるだろう。年収が低いほど「結婚してもいいと思える」率は低い=グラフ参照。年収が上がるにつれて結婚してもいい人は増え、年収が400万円までで計37.0%が、年収500万円では計56.7%とようやく半数以上が結婚してもいいと思えるようになる。年収による「結婚の壁」は年収500万円といえそうだと、調査したSMBCコ社は分析している。

 

 「出産・子育て」についても、年収が上がるにつれて「してもいいと思える」人は増えるが、当然ながら結婚以上にハードルは高い=グラフ参照。結婚では3分の1以上が「してもいい」と思えた「年収400万円」まででは、出産の場合は27.8%と4分の1強に過ぎない。年収 500 万円あっても44.7%、年収が600万円になってようやく半数以上の56.2%が、子どもを持ってもいいと思えるようになる。実際、子育てにはお金がかかることを考えると、極めて現実的だろう。

 

 ただし、出産・子育てについては結婚以上に“絶対ノー”の人が増える。年収が「どれだけ多くても、したいと思えない」人は18.1%に上った。実に5.5人に1人が、年収に関係なく子供を欲しいと思えないと回答したわけだ。この数字が、外国と比べて大きいかどうか、過去の日本の数字と比べて増えたかどうかは分からないが、現実的に「いま、子を持ちたいと思えない」社会であることを反映している、とは言えるだろう。

 

一方で、年収が「いくら低くても、したいと思える」人は11.3%とぐっと下がり、結婚にはお金は関係ない人と比べて3.4ポイントもの開きがある。「子を持つこととお金とは関係ない」と思っている、この9人に1人が高年収ならば問題はないけれど、低年収で出産してしまった場合の「その後」が心配でもある。

(2019・3・13、元沢賀南子執筆)