第8話『たとえ、何があろうとも』 | 吾輩はSLE&ヒルシュ類縁のアラサーである。

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腸管神経細胞僅少症(ヒルシュスプルング病類縁疾患)とSLE、肝硬変に振り回されつつ、七転八起しながら生きているアラサーです。
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「マスター・・・だな」
ためてしまった返却済みの本を20冊ほどかかえ、
焦っている忍成にブレイズが声をかけた。
「・・・・!?」
振り向くとそこには知った顔がいた。
「・・・・ブレイズ・・・・自分、何してるん・・・?」
 
 
「なるほどな・・・『菊一文字』と『ガンボックス』を大介から受け継いだんか・・・・」
「あぁ・・・・マスターはもう刀を持たないのか?」
そんなブレイズに忍成はフッと笑った。
「今の所はな・・・・せやけど、輪(ロンド)とのケリは俺がつけなアカンのや・・・」
スッと立ち上がると忍成は胸の上で十字を切る。すると
十字を切った右手が薄桃色の眩い光を放った。その光が消えるとともに
忍成の右手には漆黒の刀があった。
「手入れは欠かしとらんからな・・・・綺麗やろ・・・・桜型に薄ピンクの貝がはめてあるんや
・・・・その名も『狂い桜』・・・・狂い咲きの桜ほど美しいモンはないと思うんや・・・・」
そう言って刀から視線を外した瞬間に鋭い刃先が忍成の方へ向かってきた。
とっさによけると容赦なく振られる刀を愛刀で受け止める。
しばし刀を合わせたが・・・・
 
 
「・・くっ!!」
少し気がゆるんだスキを突かれ、ブレイズの首元に忍成の刀が軽く当たった。
「・・・・スキがある・・気ぃゆるめたら殺られてまうで・・?」
ブレイズを見る忍成の瞳に普段の柔らかな光はなく、獲物を狙う獣のような鋭い視線だった。
でも、刀を鞘に納めると優しく笑った。
「・・・・全くなまってねぇ・・・・さすがだ、マスター・・・」
「ブレイズが来るっちゅう事はこの学校も相当ヤバいんか・・・」
ブレイズは無言でうなずいた。忍成は真っ青な空を仰いで呟く・・・・。
「逃げたりせぇへん・・・・今度こそ輪・・・お前と向き合って戦う・・・・何があってもや・・・。
今の俺は一人やない・・・」
 
 
 
「・・かっつん・・・まだやるの?」
陽那は誰もいない教室で座っていた。さっきからずっと目を閉じてじっとしているだけだった。
『バカ野郎・・・・集中力と精神力が物を言うんだぜ、お前の場合はっ。ほらしっかりやれっ』
陽那は大きく溜息をつくと目を閉じた。少しすると教室の中の物がカタカタと揺れ始めた。
『そうだ、イイ線いってる!!もう少しだ!!』
しかし・・・
「くか~・・・・」
寝息をたて始めてしまった陽那に克幸はガックリと肩を落とした。
『寝てんじゃねぇ、このバカ!!!』
大事な鍵を握る陽那の危機感の薄さに克幸は頭を抱えたのだった。
 
 
 
 
To be continued....
 
 
 
Written by 蒼ノ介