◎「はやて(疾風)」

「はやあとえ(早、後、え)」。「はや(早)」はその項。この「はや(早)」は空間移動を感じるなにかのその移動速度にかんする表現。「え」は驚きや意外感を表現する発声。何かが一瞬にして通り過ぎ、その後(あと)に取り残された感覚となり「え」と驚く…。そんな状態にさせる何かを表現する。突然現れそして去っていく非常に風速の速い暴風を言う。「はやち」とも言う。これは「はやあち(早、彼方)」。一瞬にして彼方へ行くもの。

「はやても龍(りう)の吹かするなり」(『竹取物語』)。

 

◎「はやぶさ(隼)」

「はやばゆさ(早羽揺さ)」。「はや(早)」は「はやし(早し・逸し)」の項。この「はや」は、効果的、ということでしょう。「ゆさ(揺さ)」は心情や身体が内部から揺れ上がるような状態になること。羽ばたきの早く力強い鳥、の意。鳥の一種の名。

「隼(はやぶさ:破夜步佐)は 天(あめ)に上(のぼ)り 飛(と)び翔(かけ)り 齋(いつき)が上(うへ)の 鷦鷯(さざき)取(と)らさね」(『日本書紀』)。

「鶻 ………和名八夜布佐 鷹属也 隼…訓上同」(『和名類聚鈔』)。