◎「はつか(二〇日)」
「はたいふか(二十言ふ日)」の変化。数字20は一般には「ふたそ(二十)」であり、それを一種の美称のような「はた(二十)」という言い方をした「か(日)」が「はたいふか(二十言ふ日)→はつか」。「はた(二十)」(10月5日)や「か(日)」にかんしてはその項。月の20日めも20日間も意味する。
「たた(ただ)日のへぬるかす(かず:数)を今日いくか(幾日)、廿日、丗日(みそか)とかそふれば…」(『土佐日記』:20日間)。
「夜はいもねす(寝ず)。廿日の夜の月いでにけり」(『土佐日記』:月の20日め)。
◎「はつか」
「はつきは(端つ際)」。「つ」は助詞。端(はし)の際(きは)。末端域の限界。末端域たり得る限界。ほんの少し、ほんの一瞬、の意。
「海の中に、はつかに山みゆ」(『竹取物語』)。
「『物越しにはつかなりつる対面なむ、残りある心地する』」(『源氏物語』)。
「かすかの(春日野)のゆきま(雪間)をわけておひいてくる(生ひ出でくる)草のはつかに見えしきみはも」(『古今和歌集』)。
「むかし、をとこ、はつかなりける女のもとに」(『伊勢物語』)。