◎「はたち(二十)」
「はたつゐ(二十つ居)」。「はた(二十)」はその項(10月5日)。数の20(二十)を意味する。「つ」は助詞。全体は、数の20たるあり方のもの、ということ。後には人の年齢にしか言われなくなりますが、古くは年齢を表現すること以外にも用いられた。
「仍(よ)りて良馬(よきうま)一匹(ひとつ)・鐵(ねりかね)廿鋌(はたち)を賜(たま)ふ」(『日本書紀』)。
「(富士の嶺は)比叡の山をはたちばかり重ねあげたらん程して…」(『伊勢物語』)。
「(年齢)五十七、八の人の、うちとけてもの言ひ騒げるけはひ、えならぬ二十の若人たちの御なかにてもの怖ぢしたる、 いとつきなし」(『源氏物語』)。
「上皇は今年御年二十(ハタチ)」(『平家物語』)。
◎「はたて」
「はてはて(果て果て)」。あらゆる果て。「はて(果て)」は終局にいたっていることを意味する(その項)。「はたてに」は、あらゆる「はて」に、すみずみに、の意。
「𡢳嬬(をとめ)らが かざしのために 遊士(みやびを)の かづらのためと 敷きませる 国のはたてに 咲きにける 桜の花の にほひはもあなに」(万1429)。
「我(わ)が宿(やど)の 籬(ませ)のはたてに這(は)ふ瓜(うり)の なりもならすも二人(ふたり)寝(ね)まほし」(『金槐和歌集』)。