「はしりいら(端領り高)」。他と触れあう限界的領域(「は(端)」)に浸透的影響を及ぼす(「しり(領り)」)のびあがったもの(「いら(高)」)、の意。(その占拠地盤が四角い家屋なら)木造家屋の四隅に立てられ屋根を支えている建材ですが、原形は先のとがったままの木の幹や太めの枝などでしょう。整然と製材されたものではない。これにより家全体の平面域も空間域も決まり、これが、家全体を維持するもの、という印象のものにもなる。橋や鳥居その他、家以外の建造物にかんしても言い、ただそれだけが象徴的に立てられることもある。また、神などの助数詞にもなっている。神などの助数詞になるのは、それが人や世界を維持するということでしょう。

「此(こ)の三柱(みはしら)の神(かみ)は並(みな)獨神(ひとりがみ)と成(な)り坐(ま)して…」(『古事記』)。

「是(これ)を高津宮(たかつのみや)と謂(まを)す。即(すなは)ち、宮垣(みかき)室屋(おほとの)堊色(うはぬり)せず(漆喰を塗ることがなかった)。桷(はへき)梁(うつはり)柱(はしら)楹(うだち)、藻飾(ゑかきかざ)らず」(『日本書紀』)。

「柱 ………和名波之良」(『和名類聚鈔』)。

「其(そ)の嶋(しま)に天降(あまくだ)りまして、天(あめ)の御柱(みはしら)を見(み)立(た)て、八尋殿(やひろどの)を見(み)立(た)てたまひき」(『古事記』)。

「軀 …ハシラ」「標 ……………サカイ ハシラ」「柱 …ハシラ」(『類聚名義抄』)。