◎「はきと」
「は」はH音の感覚感とA音の情況感により情況感覚感を表現する。「き」は形容詞連用形語尾にあるそれであり、「は」の気付き感覚進行にあることを表現する。情況全的に何かが感づかれ気づかれている。この「はき」は、二音連続すれば「はきはき」であり、R音により情況表現もなされ、「はきり」「はっきり」にもなる→「はっきりと見える」。
「衣装を色とりかさり(飾り)はきとしたて目にたつ小袖」(『八帖花伝書』)。
◎「はぐくみ(育み)」(動詞)
「はぐくみ(羽含み)」。「くくみ(含み)」はその項参照(意味は、内包すること。「ふくみ(含み)」に似ている)。「はぐくみ(羽含み)」は、(親鳥が子を)羽根に覆い入れ守り育てるような状態になること。意味発展的に、何かにそのように対処すること。
「旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽(は)ぐくめ(羽褁)天(あめ)の鶴群(たづむら)」(万1791:「褁(カ)」は中国の書に「囊也」とされる字。「囊(ノウ)」は袋)。
「この宮を預かりてはぐくまん人もがな(『源氏物語』)。
「大船に妹(いも)乗るものにあらませば羽ぐくみ(羽具久美)持ちて行かましものを」(万3579)。
「さるかたの後見(うしろみ)にて、はぐくまむ」(『源氏物語』)。