◎「はぎ(萩)」

「はやぎ(葉矢木)」。葉が、矢が突き進んでいるように生(お)う木、の意。とくに、山萩(ヤマハギ)の印象。後には、観賞用の園芸品種たる萩も生まれる。樹木性の植物の一種ですが、太い幹一本が伸びるものではなく、株から細めの幹が多数のびる。それにより全体が茂り、樹高は高くてもせいぜい2メートル。赤紫色の細かな花が多数咲き乱れる。

「秋の野をにほはす萩(はぎ:波疑)は咲けれども見る験(しるし)なし旅にしあれば」(万3677:「にほひ」という語は古代では熱を帯びた印象であること、とくに赤系の色が感じられること、を表現する)。

「鹿鳴草 …………和名波木」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「はぎ(脛)」

「はきき(履き着)」。何かを履(は)くような着(き)るような(体の)部分、の意。人体の、膝の下で足首の上(とりわけ後部)、を言う。着物の場合、その外装はこの身体部分あたりから下は「はく(履く)」になり上は「きる(着る)」になる。

「古老曰昔在国巣 俗語都知久母(ツチクモ) 又云夜都賀波岐(ヤツカハキ(ぎ):八束脛)」(『常陸風土記』)。

「胻 ……和名波岐」(『和名類聚鈔』)。

「久米の仙人の、物洗ふ女の脛(はぎ)の白きを見て通を失ひけむは…」(『徒然草』)。