「ねええび(値得兄び)」。「ね(値・価値)」「え(兄・姉)」はその項。「び」は「都び」その他のそれ。ここでの「ね(値)」は社会的・人間的意味や価値。「ねええび(値得兄び)→ねび」は、社会的・人間的意味や価値を得て、それが身につき、現実年齢より年長に見えること。苦労や経験により年長や大人の印象であること。上二段活用。「ねびれ(ねびいれ・ねび入れ)」(年取ったようであること)という動詞もある。
「(妹尼は)ねびにたれど、いときよげによしありて、ありさまもあてはかなり」(『源氏物語』:これは実年齢よりも老いた印象なのでしょう)。
「御供に大童子の、大きやかに年ねびたる四十人、中童子二十人…」(『栄花物語』)。
「帝は、御年よりはこよなう大人大人しうねびさせたまひて…」(『源氏物語』)。
「主上は今年八歳にぞ成らせおはしませども御年のほどよりは遥かにねびさせ給ひて御容美しう辺も照り輝くばかりなり」(『平家物語』)。