「ひねりつきこみ(捻り突き込み)」といった表現から、「ひ」は無音化R音は退行化し「き」は音便化し、「ひねりつきこみ(捻り突き込み)→ねいついこみ→ねぢこみ」と言った変化により、「ねぢ」が動詞化した。意味は、なにか(B)に対しなにか(A)を、回転させつつ直線的に同化させる力を加えることですが、これにより、ものであれことであれ、AはBへ侵入していきますが、なにかに対し同じような動態を加えることも「ねぢ」と言い、他動表現も自動表現もある。たとえば「木をねぢ」も「木がねぢ」もある。たとえば「木がねぢ」は、災害で家屋が傾いたりし、材木が、両端に双方逆回転の力が加わるような状態になりつつ傾いたりする。連用形名詞化「ねぢ(螺子)」は材の締結などにもちいる具の名にもなっている。上二段活用。「ねぢり(捩ぢり):ねぢいり(捩ぢ入り):まったく、捩ぢ、の動態になり」という動詞もあり、これは四段活用。その自動表現は「ねぢれ(捩ぢれ)」。
「『……』と。主人の云ふに随て、鳴かぬ鴈の頸をねぢて、殺して調て、御肴に備へたり」(『今昔物語』)。
「左右(さう)の手を急度(きつと)ねぢ上(あげ)て御ざる所で…」(「狂言」『茫々頭(ぼうぼうがしら)』)。
「『そんならこれで拾貫分。相場は十三もんめん(木綿)』、巾着捩(ね)ぢこんで、こそ帰りける」(「浄瑠璃」『丹波与作待夜の小室節』)。