◎「ねぎらひ(労ひ)」(動詞)

「ねぎいれはひ(祈ぎ入れ這ひ)」。「ねぎ(祈ぎ)」はその項。「ねぎ(祈ぎ)」を入れる、すなわち、「ねぎ(祈ぎ)」を届ける、情況になること。相手との均質化が努力され、その肉体や心情の苦を自分も負い相手を楽にする効果がはかられる。「ねぎ(祈ぎ」の項(5月23日)参照。

「高麗の沙門(ほふし)道顯(ダウケン)の『日本世記』(※)曰(いは)く…………………天子、恩勅(めぐ)みて見前(みまへ)にして(直接、眼前にして)放着(ゆる)したまふ。十九日(とをかあまりここのかのひ)に、賜勞(ねぎら)ふ」(『日本書紀』:(※)『日本書紀』が編集されたころ、こうした書き物があったらしい)。

「勞 ………ネギラフ」(『類聚名義抄』)。

「労(ラウ)をねぎらふ」。

 

◎「ねこ(猫)」

「ね」は鳴き声の擬音。「こ」は「子」であり、愛称。動物の一種の名。『源氏物語』で猫の鳴き声は「ねうねう」と書かれる。

「うへにさぶらふ御猫(ねこ)はかうぶりにて(位階では)命婦(みやうぶ)のおとどにて…」(『枕草子』)。

「明け立てば、猫のかしづきをして、撫で養ひたまふ。……………(柏木が)いといたく眺めて、端近く寄り臥したまへるに、(猫が)来て、「ねう、ねう」と、いとらうたげに鳴けば…」(『源氏物語』)。