◎「にひ(新)」
「ひいにひ(日去に日)」。「ひにひ」のような音(オン)を経、語頭の「ひ」は無音化した。いままでの日(ひ:太陽そして生活記憶たる無数の一日)は去り行きそして現れた日(ひ)のなにごとかやなにものかであることを表現する。それはいままでなかったなにものかやなにごとか。
「にひなへ(新嘗)」、「にひなめ(新嘗)」、「にひはり(初墾)」、「にひ草」、「にひ手枕(たまくら)」、「にひ妻」。

◎「にび(鈍び)」(動詞)
「にび(土び)」。「に(土)」はその項。土(つち)を意味する。語尾「び」は「宮び」その他の「び」に同じ。何かの様子が現れること。「にび(土び)」は土の印象が現れること。事実上、色彩的な印象に関し言われる。「にびいろ(鈍色)」は黒に接近する濃い鼠色。
「にひたる(鈍(に)びたる)みそ(御衣)どもなれど、色あひ重なり…」(『源氏物語』)。