「にあゆよ(似落ゆよ)」。「に(似)」は、~のような動態・状態、ということであり(その項)、「あゆ(落ゆ)」は「あえ(落え)」の終止形であり、構成力の空虚・喪失、活性力の衰化、不活性化を表現する。「にあゆ(似落ゆ)」は、似(に)た落(あ)ゆ、ということであり、「落(あ)え」ではないが、落(あ)えのような状態。語尾の「よ」は「くよくよ」などにもあるそれであり、詠嘆(「くよくよ」の項)。つまり、「なよ」は、まるで落(あ)えてしまったようだ…と詠嘆的に言う。二音持続した「なよなよ」や、動詞「なよび」、「なよやか」もあるが、「なよ~」は、「~」のそれとしての存在が、その構成が、希薄となり、その動態が不安定で動揺していることを表現する。「なよ竹」。「なよ草」。「なよ風」。
「秋山の したへる妹 なよ(奈用)竹の とをよる子らは」(万217:「とを」は「たわ(撓)」の母音変化)。
「御いらへもえ聞こえたまはず、まみなどもいとたゆげにて、いとどなよなよと、 我かの気色にて臥したれば」(『源氏物語』:重篤の重体だった)。