◎「なめ(舐め・嘗め)」(動詞)
この「な」は、弱い粘着感とともに進行するような感覚を表現するものであり、これは経験に由来する。「な」を発音する口蓋内の舌と上顎表面による感覚経験。その「な」による、意思動態を表現する活用語尾M音による動詞。舌でなにかに触れることが意思努力として持続することを表現しますが、基本は、口中でそれは起こっている。
「ひとりの天人いふ。つぼなる御藥たてまつれ。きたなき所の物きこしめしたれば御心ちあしからむ物ぞ、とてもてよりたれば。聊なめ給て」(『竹取物語』:「なめ (舐め・嘗め)」は基本的には口の中になにかが少量入り、これの味をたしかめたり、これを少しづつ体内へ入れたりする。「飴をなめ」)。
「咀 …クフ カム ナム クラフ」「啜 …ナム ナメミル…ススル」「飲 …ノム ナム」(『類聚名義抄』)。

◎「なめ(並め)」(動詞)
「なみ(並み)」(その項・2月18日)の他動表現。「並み」の状態にすること。
「楯(たた)並(な)めて(那米弖) 伊奈佐(いなさ)の山の 樹(こ)の間(ま)よも い行きまもらひ 戦へば… 」(『古事記』歌謡15)。
「…八十伴(やそとも)の雄(を)は ………常にありせば 友並(な)めて(名目而) 遊ばむものを 馬並(な)めて(名目而) 往(い)かまし里を…」(万948:皆で馬に乗ってどこかへ行くわけです)。