◎「ともゑ(巴)」
「ともヱン(伴円(圓))」。「ん」の脱落。「とも(共・友・伴)」はその項(11月10日)。「円(ヱン)」の旧字体「圓(ヱン)」は『説文に』「圜全也」とされる字。「圜(クヮン・ヱン)」は『説文に』「天體也」とされる字。「ともヱン(伴円(圓))→ともゑ」は、同伴し全体に完全化する円、の意。図案の一種。円が回転する様が図形化され、一つ巴、二つ巴、三つ巴があり、紋章にもなっている。一つ巴は同伴する円が描かれていないようにも見えますが円の回転自体が円になっている。この図案は相当に古くから世界に広くある。韓国国旗の中央に描かれる二つ巴は陰陽流転を意味する中国文化の影響によるもの。
「白薄様(しらうすやう)厚染紫(こうぜんし)の紙、巻上の鞆絵(ともゑ)畫(かき)たる筆の軸やと」(『源平盛衰記』)。

◎「どやし」(動詞)
「ドをいやし(怒を癒し)」。「ド」は「怒」の音(オン)。意味は、怒(いか)り、恨(うら)み。それを解放、発散させ心身を平安な状態にすることが「ドをいやし(怒を癒し)→どやし」。その解放・発散として起こることは、多くは暴力であり、人を殴ったり、ということが起こる。怒鳴(どな)ることが「どやし」と言われることもある。まれには、人を、いうことをきかせる、という意味でも言われる。「殴りつける」や「怒鳴りつける」のように「どやしつける」という表現もある。
「『ヱヱけたいなやつじや。のうてん どやいて(どやして)こまそかい』」(「滑稽本」『東海道中膝栗毛』)。