◎「どっこい」

「ドクけこい(毒気来い)」。「来(こ)い」は、さぁ来い、来られるものなら来てみろ、のような意。「ドクけ(毒気)」は、危険、あぶなさ、さらには、自分に害、損害、負担が感じられる何か。「ドクけこい(毒気来い)→どっこい」は、それらが自分に及びそうになった事態において、そんなもの・ことには負けぬぞ、と覇気を現す掛け声。対抗的な双方が相手に対しそう言えば「どっこいどっこい」。

「大太刀くつろげ逃げば切らんず気色なり………どつこいどつこい動いてみよ…」(『用明天皇職人鑑』)。

「どつこい、やるまいぞ」(「今悔(こんくわい)」『狂言記』:どっこい、逃がさんぞ)。

「どっこい、そうはいかない」。「おっとどっこい」(危険なものを踏みそうになりそう言ってよける)。

 

◎「どっこいしょ」

「どかおひしよう(どか負ひしよう)」。「どか」は、重い負荷がかかることを表現する擬態。重いものを引いたり負ったりする際の掛け声。どんどん負おう、の意。相撲甚句の囃子詞はもともとは「どっこい、どっこい」だったという。それはこの「どっこい」。その囃子詞はのちに「どすこい」に変るが、それにかんしてはその項(10月3日)。

 

◎「とっちめ」(動詞)

「とってしめ(取って締め)」。捕まえ痛い目にあわせてやる、のような意(「威張り散らすあいつをとっちめてやる」)。しっかりと把握して自分のものにする、のような意にもなる(「学問を身にとっちめる」)。

 

◎「とっぷり」

「とほひイウリ(遠日悠離)」。遠(とほ)い日(ひ)が悠(はる)かに離(はな)れる、とは、日がすっかり沈んでしまい、夜になっていること。

「天神橋へ掛りますと、日はトツプリ暮れ…」(「落語」『塩原多助一代記』) 。