◎「どすこい」

「どしうけよい(どし受け良い)」。「どし」は重量感のあるものが置かれた擬態。「どしうけよい(どし受け良い)→どすこい」は、どっしりとした重量感のあるものでもなんなく安定的に受ける、ということです。これは相撲甚句の囃子詞として有名ですが、「大きい」や「太い」を意味する方言にもなっている。頑丈そうにしっかりしている、ということです。

相撲甚句の囃子詞は昔は「どっこい」だったそうですが、これは「どっこいしょ」の下略(「どっこいそうはいかない」などの「どっこい」(その項)ではない)。「どすこい」に変ったのは地方出身の力士の影響によるものらしく、これはもともとは方言ということか。

 

◎「とせ(歳)」

「としへ(年経)」。年の経過。

「天離(あまざか)る鄙(ひな)に五年(いつとせ:伊都等世)住まひつつ都のてぶり忘らえにけり」(万880)。

「相見ては千年(ちとせ:千等世)やいぬるいなをかも我れやしか思ふ君待ちがてに」(3470:相見たというできごとは…、あれからもう千年もたったのか?。「いなをかも」は、信じられないかもしれないが、のような意(その項)。 「~がてに」は、~していることができず(つまり、あなたを待ちきれず)、ということ(その項・2021年4月15日)。)。

「千歳飴(ちとせあめ)」。

 

◎「どぜう(泥鰌)」

「どろチャウ(泥打)」。「チャウ」は「打」の呉音。これは、細長い円柱状の、大きくても20センチ以下程度のある種の淡水魚の名ですが、ぬかった泥の中で泥を打って動き回るような動きをすることによる名。仮名表記は「どぜう」もあり、後世ではその料理屋の看板には「どぜう」と書かれることが一般にもなりますが、古くは、「どぢやう」の方が一般的な表記でしょう。

「鯲 トチヤウ 土長 同」(『壒囊抄(アイナウセウ)』)。

「鯲 ドヂヤウ」(『雑字類書』)。

「さて、だい所にはいけぶね(活舟)にどじやうをはなち、ごぼう、やまのいも…」(「浮世草子」『好色一代男』)。