◎「てらひ(衒ひ)」(動詞)
「てりはひ(照り這ひ)」。「てり(照り)」はその項(8月31日)。発光を感じさせる、意図的に反映・発光する(他者や周囲に感じさせる)情況になること。発光により人の関心を引き、注目を受け、自己の輝きを増そうとする。のちには、宣伝する→売る、といった意味でも用いられる。「学をてらふ」は学識に関してそうなる。しかし、自分が光を感じていることにあらゆる人も感じるとは限らない。
「衒 …テラフ ウル………カカヤカス…」(『類聚名義抄』)。
「此兵法の道に色をかざり、花をさかせて、術を衒ひ…」(『五輪書』)。
◎「てりさつ」
『万葉集』歌番1326の原文「照左豆」をそのように読んだもの。「てるさつ」とも読まれ、一般に、語義未詳、と言われる。この「照左豆」は「てらさづ」でしょう。「てらさづ」は「てりあさつづ(照り朝星)」。明けの明星のこと。「つづ(星)」にかんしては、「ゆふつづ(夕星)」(その項)と対(ツイ)に、朝のそれを「あさつづ(朝星)」と言った。
「照左豆が手に纏(ま)き古す玉もがもその緒は替へて吾が玉にせむ」(万1326)。