◎「てっぺん(天辺)」
「テンイッペン(天一遍)」。「天(テン)」は『説文』に「至髙無上」などとある字。ようするに、地球上に立った場合の上空、際限なく。「一遍(イッペン)」は、他の要素なくそれだけ、ということ。「テンイッペン(天一遍)→てっぺん」は、その「天(テン)」しかない位置。「それ」のてっぺんは、「それ」の天(テン)しかなくなる位置。人の頭の頂上部、社会的関係の権威的頂上部、ことのはじまり、をそう言ったりもする。
「五重の塔へ足代(あじろ)をかけさせ、てつぺんのぎぼうしゆ(擬宝珠)を舐めて見(み)…」(「咄本」『聞上手』)。
◎「てぬぐひ(手拭)」
「て(手)」はそれが携帯品であることを表現する→「手帳」「手斧」など。「ぬぐひ(拭ひ)」はその項。「てぬぐひ(手拭)」は、携帯する拭(ぬぐ)ふもの、の意。これはあまり大きくない布です。
この語は、手を拭ふもの、という意味ではない。アクセントは名詞たる「みならひ(見習い)」に同じ。
「晒(さら)しの手拭をゐくびに被(かぶ)り」(「滑稽本」『東海道中膝栗毛』)。