◎「でっちあげ」(動詞)
「デツうちあげ(捏打ち上げ)」。「デツ」は「捏」の漢音。意味は、捏(こ)ねる。「捏」の呉音は「ネツ」であり、「ネツザウ(捏造)」は、捏(こ)ねて造(つく)る、ということなのですが、この表現がありもしないもの・ことを造(つく)上げることを意味する。「デツうちあげ(捏打ち上げ)→でっちあげ」は、その捏造たる捏(こ)ね上げることを社会一般に向かって行うように、空へ打ち上げるように、おこなうこと。
「妄想をデツチ上げた恋愛小説でもでも作つて…」(『社会百面相』(内田魯庵))。
◎「でっち(丁稚)」
「デシち(弟子血)」。根からの、全くの、弟子、の意。「デシ(弟子)」は、年少者や教え子・門人、の意。弟(おとうと)や子(こ)のように師を敬い慕う者ということです。根からの弟子(年少者)というこの表現が商人や職人に年季奉公する年少者を意味するに用いられた。
「でつちに行燈掃除させて其油紙にて煙管(きせる)を琢(みがか)せ」(「浮世草子」『西鶴織留』)。