◎「つるぎ(剣)」
「たちぬき(断ち抜き)」。たちぬき→たづき→つるき。「つる(鶴)」(8月1日)と同じ音変化。「たち(断ち)」は一を二にすること(→その項・2023年11月11日)。「ぬき(抜き)」は「(仕事を)やり抜き」の「ぬき」と同じような意であり、完全にしとげることを意味する。「断ちぬき」は、完全に断つもの、断ちきってしまうもの、の意。槍の穂先を手に持ったような両刃の直刀であり、後には片刃でありしかも反りのある「かたな」が一般的になっていく。
「その御佩(はか)せる十拳剱(とつかのつるぎ)を抜きてその蛇(をろち)を切り散(はふ)りたまひしかば…」(『古事記』)。
「属鏤 ……文選讀豆流岐」(『和名類聚鈔』)。
「剱 …タチ……両刃刀 ツルキ」(『類聚名義抄』)。
◎「つるつる」
「ちゆる(路緩)」の反復。進行の路(みち)が緩(ゆる)いこと、すなわち進行経過に抵抗がないこと。抵抗なく(それゆえ早く)進行すること。ものごとや動作の進行にかんし言う。「門より人がつるつると入る」。「日がつるつると出る」。「つるつると走る」。「床がつるつると滑(すべ)る」。