◎「つめ(詰め)」(動詞)

「つまり(詰まり)」(その項)が「つめ」という動詞の自動表現(「つまり(詰まり)」はその意味での「つめ」にある情況を表現するもの)と思われ生じた他動表現動詞。複数対象の同動を情況感覚化し同動を進行させること。対象相互の関係や対象を凝縮させる状態になる。

「打ち叩き、押し引けど、内外(うちと)につめてければ、ゆるぎだにせず」(『落窪物語』)。

「老人の立ち振舞、老いぬればとて、腰膝屈(かが)め身をつむれば、花失せて、古様にみゆるなり」(『風姿花伝』)。

「正しく院宣を蒙りたる父に向かひて弓引き給ふは如何と申されければ、義朝道理にやつめられけん。その後は音もせず」(『保元物語』)。

「御をぢの中務宮、はじめて其の筵に參り給へりけるに、ならはせたまはぬ御有樣に、御かうぶりの額もつむる心ちせさせ給ふ。」(『今鏡』)。

「バックに荷物をつめ」。「番所につめ」。「生活をつめ・家計をきりつめ」。「着物の丈(たけ)をつめ」。「根(コン)をつめ」。「思ひつめ」。「問ひつめ」。「計画をつめ」。

 

◎「つめ(集め)」(動詞)

「つみ(積み)」の客観的対象を主体とした自動表現。「(人々が会場に)つめかける」。「をづめ(小集)」は人の小さな集まり。

「打橋(うちはし)の集楽(つめ:都梅)の遊(あそび)に出(い)でませ子(こ)…」(『日本書紀』歌謡124)。

「「住吉(すみよし)の小集楽(をづめ:原文「小集楽」)に出でて現(うつつ)にもおの妻すらを鏡と見つも」(万3808)。