◎「つみなひ(罪なひ)」(動詞)
「つみねはひ(罪音這ひ)」(罪(つみ)たる影響性が感じられる)。「つみねはふ(罪音這ふ)」という表現が有罪宣言となり。それを受けた者は受け身として「つみねははれ(罪音這はれ)→つみなはれ」。「つみなひ(罪なひ)」はその受け身を生じさせることとして、罪(つみ)ある者としその責任を追及することを意味するようになった。
「必(カナラズ)法(ノリ)ノマニマニ罪(ツミ)ナヒ給(タマ)ヒキラヒ給(タマハム)ト勅(ノリタマフ)御命(オホミコト)ヲ聞食(キコシメサ)ヘト宣(ノル)」(『続日本紀』宣命)。
「人をくるしめ、法ををかさしめて、それをつみなはむこと、不便(ふびん)のわざなり」(『徒然草』)。
◎「つみなへ(罪なへ)」(動詞)
「つみねはへ(罪音這へ)」。「はへ(這へ)」は「はひ(這ひ)」の他動表現。罪とすること。「つみなひ(罪なひ)」(その項)よりも他への働きかけ性が積極的。
「功(いさみ)過(あやまり)を明(あきらか)に察(み)て、賞(たまひもの)し罸(つみな)ふること必ず當(あ)てよ」(『日本書紀』:いわゆる「十七条の憲法」の十一。六には「悪(あしきこと)を懲(こ)らし善(ほまれ)を勧(すす)むるは古(いにしへ)の良(よ)き典(のり)なり……人の善(ほまれ)を匿(かく)すこと无(な)く、悪(あしきこと)を見ては必ず匡(ただ)せ」などもある。賞罰を明らかにし、善悪を明らかにしろ、ということ)。