◎「つまで(嬬手)」

「つみはで(摘み葉手)」。「て(手)」は方向を、そして社会的・意味的な方向という意味で、何かのあり方を意味し、この場合は樹木のあり方。「つみはで(摘み葉手)→つまで」は、葉を取った(落とした)だけの印象の木材。原木を意味する。角材を意味するとする説もありますが(「つま」が、端、であり、角(かど)、を意味するらしい)、下記の歌にあるように、切り出した角材を筏(いかだ)にすることは不自然。

「…いづみの河に 持ち越せる 真木(まき)のつまで(都麻手)を 百(もも)足らず いかだに作り…」(万50)。

 

◎「つまみ(摘み)」(動詞)

「つむやみ(摘むや見)」の独律動詞化・四段活用動詞化。何かを摘(つ)むその動態を見たかのような動作をすること。何かを摘み取る際、指先で対象を保持しますが、その動作をする。「つみ(摘み)」という動詞が、たとえば野の菜を、指先で断ち切り、籠へ入れるような動作も、あるいは、たとえば好きな男の手の甲の皮膚を指先で挟むようにして軽く力を加えるような動作も、意味することから、意味を明瞭にするため後者を表現するものとして生まれた表現。指先でもてあそぶように取り上げる、という意味でしょう、人をからかう、愚弄する、といった意味でも言われる。これが受け身で言われ、「狐(きつね)につままれる(騙され、ばかされる)」。

「Tçumami(ツマミ), u(ム), ŏda(ンダ). Tomar a cousa com dous dedos(二本の指で物を持つ). Vi. Sacanauo(サカナヲ) tçumamu(ツマム). Tomar a Sacana com dous dedor(二本の指でサカナをつかむ). ¶ Item, Zombar dalguem(人をからかう)」(『日葡辞書』)。

「酒のつまみ」(酒を飲む際につまむように食べるもの)。